第22話のタイトルは「果てしなき暴走」。脚本を「快獣ブースカ」でデビューした市川森一が担当した当話では、砧公園前にある出光のガソリンスタンドが登場。環状八号線の向かい側には、赤白の煙突が印象的な清掃工場(焼却場)が確認できる。
稲垣涌三さんに伺えば、「砧緑地(砧公園)」は簡単に撮影許可が下りたでので、よくロケを行ったという。前述のとおり、当地は「ウルトラセブン」でもしばしば撮影に使われており、円谷プロにとっては便利なロケ地だったのだろう。
「恐怖劇場 アンバランス」(73年放送、製作は69~70年/CX系)は、「怪奇大作戦」に次ぐ‶大人向け〟ホラー・ドラマ。
第7話「夜が明けたら」(黒木和雄監督:同タイトルのテーマ曲を歌う浅川マキも出演)では、労働科学研究所(通称は「労研」=現「成城ハイム」)前の小田急線踏切から旧成城警察署前踏切に至る道路を、刑事役の花沢徳衛と山本麟一(『警視庁物語』コンビ!)が歩くシーンがある。これは第3話「殺しのゲーム」で岡田英次が歩く道と同じで、画面奥には‶橋上駅舎(改札がプラットホームの上にある)〟時代の成城学園前駅が見える。線路南側にある世田谷区の「砧公益質屋」は、「少年ジェット」(59〜60年CX系)でも見られたと記憶する(註1)。
西村晃が主人公となる本作では、懐かしい新宿駅南口の光景(京王プラザホテルは未だ建築中)のほか、祖師ヶ谷大蔵駅西側の裏道の様子(質店「近江屋」の店先や隣接する洋服店)が見られ、線路に沿ったこの裏道は「帰ってきたウルトラマン」第33話でもロケ地となった。
第10話「サラリーマンの勲章」では、成城にあったレストラン「OAK(オーク)」が重要なロケ地となる。梅津栄扮する会社員がコーヒーを飲み、「課長になりたくない」との理由で、そのまま失踪するシーンである。酒井和歌子主演のスリラー『悪魔が呼んでいる』(70年)や『俺の空だぜ!若大将』など若大将シリーズの数作、西村潔監督によるカー・アクション『へアピン・サーカス』(72年)などにも登場する当レストランは、70年代の東宝映画では大変重宝されたロケーション・スポットであった。本話では他にも、経堂駅に隣接した小田急の「車庫線」の風景が見られる。