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「嵐」と並ぶシングル58曲連続トップテン入りを果たしたアルフィーの「メリーアン」は苦節10年の大ヒット曲、そして今年解散なき50周年



 結婚したカップルには金婚式があるが、3人組のロック・バンド「THE ALFEE」も今年はデビュー50周年、まさにゴールド・アニバーサリーの年だ。一世を風靡したグループもいつの間にか解散して、才能がある人はソロ活動に移行するのが世の常。多くのグループの解散は、「このバンドは、自分の実力で成立している」という錯覚から始まるような気がする。ひとりが傲慢になれば、チームワークが崩壊する。それぞれのポジションの役割を果たすことで、チームは強くなれるのだろうが、「THE ALFEE」はそれを実証しているかのようなグループだと思う。

 
 桜井賢、坂崎幸之助、高見沢俊彦の3人は、明治学院大学の白金キャンパスで出会った。すべての出会いや出来事に偶然はないというが、今思えば3人が出会ったのは必然のことだった。活動中止もなく継続してステージに立っているグループはほかにない、稀有な存在だ。コミカルな演出や、宙づりで熱唱もすれば、漫才のようなトークで観客をわかせ、通算コンサート(ライブ)数は、2900本を越える。年齢でいえば桜井は来年、坂崎と高見沢は既に70歳の誕生日を迎えた。互いに「変な70歳」と言い合いながら、自然体で仲の良い3人のトークを聞いていると、楽しくて幸せな気分になってくる。とても「古希」という年齢を感じさせない3人だ。今回は50周年でテレビの出演で目にする機会の多い「THE ALFEE」に注目してみた。

 
 「メリーアン」がデビュー曲だと思っている人は多いのではないだろうか。私もその一人である。長年のファンの方にはお叱りを受けそうだが、不遇の時代が10年もあったとは思いもしなかった。

 デビューしたのは大学2年の夏、1974年8月25日リリースの「夏しぐれ」である。桜井と一緒のグループだった三宅康夫もあわせメンバーは4人。1974年はたくさんのグループがデビューした年で、甲斐バンド、ずうとるび、ハイ・ファイ・セット、ふきのとう、山本コウタローとウィークエンドなどがいたが、無名のまま解散したグループも多い。

 サイモン&ガーファンクルなどに憧れ、ライブハウスで地道に活動するものと思っていたら、作詞・松本隆、作曲・筒美京平の黄金コンビによる「夏しぐれ」がレコード会社から用意され、アイドルのような真っ白いスーツを着せられてのスタートだった。ビジュアルが良いからと、高見沢がヴォーカルの「夏しぐれ」が直前でA面になったという経緯も今では笑い話だ。莫大な宣伝費をかけたというが、全く記憶がない。2枚目のシングル「青春の記憶」も松本、筒美コンビだったが低迷、三宅が脱退し3人体制になった。3枚目の「府中捕物控」(作詞・作曲山本正之)は、かなりの気合を入れたにもかかわらず、75年12月10日の〝三億円事件〟の時効に合わせ、満を持して世に問うはずの新曲だったが、レコード会社から、不謹慎だと直前で発売中止にされてしまったのである。

 この事件があって、オリジナル曲を持たないバンドはレコード会社の言いなりになるばかりだと気づいた3人は、自分たちの曲を作ることで勝負しようと決意した。前回当コーナーでガロの「学生街の喫茶店」を紹介したが、3人の憧れの先輩であるガロの大野真澄からも励まされたことも大きかった。

 坂崎がオールナイトニッポンのレギュラーになって、地方のコンサートでも観客が増えていったが、依然としてヒット曲には恵まれなかった。「西部警察」の渡哲也のポスターをみた高見沢が、桜井を角刈りにすることを提案、坂崎はカリーヘア、高見沢はパンクっぽいヘアへと、外見のイメージチェンジを図ったこともあった。


 フォーク、ボサノバ、タンゴ、そしてロックンロールとヒットのためにあらゆるジャンルのサウンドを手がけたがヒットする手立てが見つからない。アコースティックグループという体裁からエレキギターを入れ、ベースとアコースティック・ギター、エレキによる新しいテイストにバンドが変化する中での15枚目のシングル「暁のパラダイス・ロード」(83年3月)をリリース。これがダメだったら、シングルヒットは狙わず、ライブ活動で地道にやろう諦めかけていた。

 ところが、当時のポニーキャニオンのディレクターの提案で、アルバム『ALFEE ‘S  LAW』の中から「メリーアン」をシングルカットして16枚目のシングルとして、83年6月21日リリースしたのである。徐々にライブ会場の動員数も増えてきた83年の8月、音楽番組の「ザ・ベストテン」の今週のスポットライトに出演することになった。中継はコンサート会場からだった。それぞれがプラカードで自分の名前を掲げ、会場の観客は歌に合わせこぶしを振り上げ、ノリノリの風景が映し出されたのだ。桜井の迫力ある歌唱、人のよさそうな坂崎の笑顔、彫が深くて足が長い日本人離れした高見沢の容姿にくぎ付けになった。何よりも観客たちの盛り上がりが熱かった。このバンドは本物だと思った。

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