「美術」という言葉が誕生し、博覧会が開催され、美術館が初めて設置されたのは明治時代からである。明治時代は社会全体が西洋化し、文化、社会の面でも大きな変化がもたらされた。油彩画が普及し欧米好みの華麗な工芸品が輸出され、博覧会では絵画や彫刻が並ぶようになった。
静嘉堂を創設した三菱第二代社長の岩﨑彌之助は、岩﨑家の邸宅を飾る室内装飾として当時を代表する日本画家・橋本雅邦に屏風絵の制作を依頼したが、橋本雅邦の「龍虎図屏風」は、明治28年(1895)に京都で開催された第4回内国勧業博覧会に出品され、マスコミをにぎわせた。また「裸体画論争」を巻き起こした黒田清輝「裸体婦人像」は後に岩﨑家高輪邸に飾られるなど、静嘉堂文庫美術館と明治の美術には接点が多い。
本展では、橋本雅邦の「龍虎図屏風」、黒田清輝「裸体婦人像」をはじめ、初公開の落合芳幾の「末広五十三次 程ヶ谷」や、河鍋暁斎の「地獄極楽めぐり図」のうち「極楽行きの列車」や、明治の工芸を代表する薩摩焼「色絵金彩麒麟乗香炉」、渡辺省亭原画、濤川惣助の「七宝四季花卉図瓶」、鈴木長吉「鷹置物」なども出展される。一世紀以上を経ても色褪せない明治美術の魅力を堪能したい。
特別展 明治美術狂想曲
会期:2023年4月8日(土)~6月4日(日)
前期:4月8日(土)~5月7日(日)後期:5月10日(水)~6月4日(日)
休館日:月曜日、5月9日(火)
会場:静嘉堂@丸の内
開館時間:10:00~17:00 *金曜は18:00閉館 入館は閉館の30分前まで
問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
入館料:一般:1,500円 大学・高校生 1,000円 中学生以下無料