アニメや若手俳優がメインの映画が興行的にもヒットしているが、もっとシニア世代が活躍する映画があっていいんじゃないか─。そんな思いを抱かれる往年の映画ファンも多いことだろう。
5月12日(金)公開の『それいけ!ゲートボールさくら組』は、シニアが奮闘するスポーツエンターテインメント映画。物語の中には、認知症、老老介護、8050問題、独居老人といった昨今の社会問題もちりばめられて、他人事ではないリアリティがプラスされている。笑いあり涙あり感動あり。超ベテランの俳優たちが繰り広げる現代を問う勧善懲悪的な人情喜劇は、シニアに限らずすべての世代に響くことだろう。
さっと、ストーリーを紹介すると……。
学生時代ラグビーで青春を謳歌した織田桃次郎(藤竜也)は、愛する妻が遺したカレー店を続けているが、寂しさと物足りなさを感じていた。そんなある日、かつてラグビー部でいつも自分たちを励ましてくれていたマネージャー・木下サクラ(山口果林)と再会する。サクラは、娘(田中美里)とデイサービス〝桜ハウス〟を経営しているが、倒産の危機にあった。それを知った桃次郎は、元ラグビー部の仲間とできることはないかと模索する。桜ハウスを立て直すため銀行から融資を受けるには、加入者を増やすことが必要条件だ。たどりついたのは、ゲートボール大会に出場して優勝を目指し、施設の知名度を上げることだった。
ところがボールをゲートに通すだけと軽く見ていたスポーツは、なかなか奥が深く、練習段階で早くも弱音を吐く始末。だが、ラグビーの「ワン・フォア・オールオール・フォア・ワン」の精神がゲートボールにも通じることに気づいた桃次郎たちは快進撃を始める。そこへ、桜ハウスのライバル施設もゲートボール大会に出場するため最強チームを結成していた。彼らの策謀は、桜ハウスを倒産に追い込み、その土地に新しい温泉センターをつくることだった。悪徳ゼネコン企業の陰謀が渦巻く。メンバーには、それぞれにも乗り越えなければいけない問題が浮上する。さて、彼らは桜ハウスを救うことができるのだろうか……。
さくら組のメンバーには、石倉三郎、大門正明、森次晃嗣、小倉一郎らが演じる。桃次郎たちが再び集まるきっかけとなった〝源治〟役には毒蝮三太夫。遺影のみの出演だが、重要な役どころ。そしてゲートボール愛好家として知られた落語家の故・三遊亭円楽師匠が、試合の特別解説者として出演。本作が遺作となった。
監督・脚本は、『なんくるないさぁ劇場版~生きているかぎり死なないさぁ~』(21)、ドキュメンタリー『紫 MURASAKI 伝説のロック・スピリッツ』(23)などを手がけた野田孝則。スポ根人情コメディが、日本の未来を明るく照らすに違いない。
配給:東京テアトル
©2023「それいけ!ゲートボールさくら組」製作委員会