4月8日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
プーチン・ロシア軍の許されざるウクライナへの無差別攻撃の報道がつづいているさなか、あろうことか、60年前のソ連で起きた政府による無差別銃撃事件がスクリーンに映し出される。ソ連共産党の同志にさえ銃撃を向ける血塗られた国家、そのソ連→ロシアのDNAに想いを馳せないわけにはいかない。
1962年6月1日、ソ連南部ノボチェルカッスクの工場で大規模なストライキが勃発した。これを重大視したモスクワのフルシチョフ政権は、スト鎮静化と情報遮断のために高官を現地に派遣。翌2日、現地に集結したソ連軍により5000人のデモ隊や市民を狙った無差別銃撃事件が発生した。共産党員のリューダは、18歳の愛娘スヴエッカの身を案じ、凄まじい現場を駆けずり回る。長らく忠誠を誓ってきた共産党への疑念に揺れるリューダが、必死の捜索の果てにたどり着いた真実とは・・・・・・。
監督は『暴走機関車』(85)、『映写技師は見ていた』(91)などで知られるロシアの名匠アンドレイ・コンチャロフスキー。事件を再現するため徹底して細部にまでこだわり、サスペンスとアクション、そして心理表現を巧みに織り交ぜ、リューダがたどる激動の運命をスリリングに描出。ヴエネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞するなど世界各国で絶賛された。
事件から60年が経つ現在においても、かつてはソ連邦の一部であった「同胞」ウクライナへの爆撃しかり、世界各地で民衆弾圧事件は絶えない。この現代の不穏な世界情勢と地続きにあり、決して遠い過去の話と言えない重いメッセージをはらんだ本作。まさに「今」観るべき作品が誕生したといえよう。
配給:アルバトロス・フィルム
© Produced by Production Center of Andrei Konchalovsky and Andrei Konchalovsky Foundation for support of cinema, scenic and visual arts commissioned by VGTRK, 2020