22.12.06 update

現代アーティスト22組によるパンデミック後のアートシーン、「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」開催中

 新型コロナウイルス感染症が世界を席巻し、間もなく3年。長引くコロナ禍により、私たちのライフスタイルや人とのつながり方は変化せざるを得なくなった。これまで見えにくかった様々な事象が、日本の社会のなかで顕在化してきた。この変化に私たちはどのように対応し、より良い生活を築いていくことができるのだろうか。

 森美術館では、コロナ禍を経て、浮かびあがる社会像を考察する展覧会「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」が12月1日(木)より開催されている。

「六本木クロッシング」は、2004年から3年に一度、現代アートを定点観測的な展覧会として総覧してきたもので、本展は7回目となる。今回も共同キュレーション形式で、4人のキュレーターがコロナ禍を起点とする議論により、3つのトピックスで構成されている。

 その作品群はユニークである。

AKI INOMATA 《彫刻のつくりかた》2018年 インスタレーション サイズ可変 
Courtesy:公益財団法人 現代芸術振興財団(東京)展示風景:「彫刻のつくりかた」公益財団法人 現代芸術振興財団 事務局(東京)2021年 撮影:木奥惠三

 ビーバーにかじられた木材を基に制作された立体作品、福島県の放射能汚染による立ち入り制限区域で撮影した写真を含むインスタレーション、失踪していた伯母と再会、その後の姿を撮影し続けたポートレート写真、アイヌの人々を主題にしたインスタレーション、様々な時代を生きぬいてきた女性たちに敬愛と労りを込めてふるまうパフォーマンス「おばあさんのランチ」の写真等など、22組の作品約120点が紹介されている。

O JUN 《美しき天然》2019年 油彩、キャンバス350×240×5 cm Courtesy: ミヅマアートギャラリー(東京)
 

 サブタイトルの「往来オーライ」は、歴史上、異文化との交流や人との往来が繰り返され、複雑な過去を経て、現在の日本には多様な人、文化が共存しているという事実を再確認しつつ、コロナ禍で途絶えてしまった人々の往来を取り戻したいという想いが込められている。

 22組のアーティストは、国際的活躍が目覚ましい作家から今後の活躍が期待される若手まで、年齢も1940年代~90年代生まれという幅広い層である。彼らの作品は、社会を鋭い観察眼で見つめ、それぞれ独創的な世界を創出している。現代アートは、同じ時代を生きる作家たちの作品を同じ空間で鑑賞できるという魅力がある。アーティストたちのエネルギーを感じるとともに、明日の見えない日々のなかに、ひと筋の光が差し込んできたような気がする。

「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」は、会期2022年12月1日(木)~2023年3月26日(日) 森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)にて開催。

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