21.12.27 update

高橋光臣さんと豪徳寺

昭和のおしるこ 平成のケーキ

 豪徳寺の商店街の店らしく、招き猫ゆかりのお菓子なども扱っている店もある。豪徳寺駅すぐ近くに小さな甘味処を見つけた。暖簾に〈甘味 おじか〉とある。高橋さんも甘党の一人だそうだ。

 昭和21年に澄さんのご主人の両親が開いた甘味処で当時は〈オジカ〉と片仮名表記だった。平成18年に〈おじか〉として澄さんが店を再開させた。「梅ちゃん先生」に出てくるような昭和の雰囲気そのままの店だ。おしるこか、あんみつかと迷ったが高橋さんはおしるこを注文。餅を焼く香ばしい匂いが胃袋を刺激する。餅も自家製でおしるこには焼いた餅が入っている。

「僕、『梅ちゃん先生』の中ではおしるこを食べていないんですよ。甘さが控えめで、餅の香ばしさがいいですね」と念願のおしるこにありついた。

 表にこの季節らしからぬ「氷」の暖簾がかかっていたので訊ねると、氷も一年中出しているそうで、氷屋の四角い氷を削ってかき氷を作る。

冬場の一番人気はおしるこで、夏場はクリームあんみつが人気だ。昭和の正統派甘味処といった趣だ。


甘味 おじか
〔住〕世田谷区豪徳寺1-43-2
〔営〕11:00 ~ 18:00
〔休〕水曜・日曜・祝日

*掲載時の内容です。営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。ご来店時は事前に店舗にご確認ください。


 次は平成らしいお菓子をということで、平成24年7月にオープンしたばかりの豪徳寺で一番新しい洋菓子店〈ペンギン ペストリー〉を訪ねた。オーナーシェフの飯塚純平さん・絵美さん夫婦の店で、ショーケースには飯塚さん自慢のケーキが並ぶ。

ケーキは〝別腹〞とばかりに高橋さんの目がショーケースに吸いつけられる。

「豪徳寺はそれぞれの季節ごとにいい表情を見せてくれる土地だと感じているので、その季節の味を楽しんでもらいたいと思っています」という飯塚さん。

ショートケーキ一つとっても季節のショートケーキということで季節によっては洋梨や栗も使われている。
モンブランもその年の栗によって違った味わいのものを作ってみたいと〈モンブラン2012〉といった次第だ。

 越後魚沼コッコプリンは新潟県魚沼産の赤タマゴをたっぷり使ったプリンで牛乳は低温殺菌乳、砂糖はきび砂糖と材料にも厳しい目を光らせている。〈ポルチェリーノ〉〈マダム ジーナ〉といったケーキのネーミングにもわかる人にはわかる隠し味が施され、このケーキをもっと楽しむことができる。「シェフのケーキには予想以上の美味しさのプラスaがある。だから繰り返し買ってくださるお客様が多い」と絶賛するのは、この店のファン第一号でアルバイトとして勤めることになったという武藤玲さん。ハチミツ入りのしっとり生地で作った鈴形の焼菓子〈豪徳寺にゃんこ鈴〉は豪徳寺の町歩きのお供にぴったりだ。


ペンギン ペストリー

〔住〕世田谷区豪徳寺1-23-14
〔問〕03-6413-5128
〔営〕11:30 ~ 20:30(土曜・日曜・祝日は10:30~19:30)
〔休〕水曜・第2火曜

*掲載時の内容です。営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。ご来店時は事前に店舗にご確認ください。

1 2 3 4

映画は死なず

新着記事

  • 2024.10.03
    令和の今もコーラスで親しまれるH2Oが昭和58年リ...

    H2O「想い出がいっぱい」

  • 2024.10.02
    松田優作唯一のドキュメンタリー映画『SOUL RE...

    文=河井真也

  • 2024.10.02
    「世界の持続可能な観光地TOP 100選」第1位─...

    佐藤正毅「箱根DMO」戦略推進部マネージャー

  • 2024.10.01
    永青文庫所蔵の織田信長の手紙が一挙公開される!「信...

    10月5日( 土)~12月1日( 日)

  • 2024.09.30
    お一人様用

    【スマホ散歩】文:写真 萩原朔美

  • 2024.09.30
    第3回 森繁久彌(前編)☆ 権威や体制に抗った喜劇...

    文=高田雅彦

  • 2024.09.27
    【帯津良一・88歳のときめき健康法】女優・浜辺美波...

    文=帯津良一

  • 2024.09.26
    西城秀樹は昭和50年「白い教会」を歌ってバカヤロー...

    美樹克彦「花はおそかった」

  • 2024.09.24
    老いは戯れるもの─萩原 朔美の日々   

    第23回 キジュからの現場報告

  • 2024.09.24
    本国パキスタンで一旦は上映禁止となった話題作、『ジ...

    応募〆切:10月15日(火)

特集 special feature 

わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の  「芸業」

特集 わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の 「芸業...

棟方志功の誤解 文=榎本了壱

VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いなる遺産

特集 VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いな...

「逝ける映画人を偲んで2021-2022」文=米谷紳之介

放浪の画家「山下 清の世界」を今。

特集 放浪の画家「山下 清の世界」を今。

「放浪の虫」の因って来たるところ 文=大竹昭子

「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

特集 「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

「いい顔」と「いい顔」が醸す小津映画の後味 文=米谷紳之介

人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

特集 人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

わが母とともに、祐三のパリへ  文=太田治子

ユーミン、半世紀の音楽旅

特集 ユーミン、半世紀の音楽旅

いつもユーミンが流れていた 文=有吉玉青

没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、展覧会「萩原朔太郎大全」の旅 

特集 没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、...

言葉の素顔とは?「萩原朔太郎大全」の試み。文=萩原朔美

「芸術座」という血統

特集 「芸術座」という血統

シアタークリエへ

喜劇の人 森繁久彌

特集 喜劇の人 森繁久彌

戦後昭和を元気にした<社長シリーズ>と<駅前シリーズ>

映画俳優 三船敏郎

特集 映画俳優 三船敏郎

戦後映画最大のスター〝世界のミフネ〟

「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の流行歌 

昭和歌謡 「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の...

第一弾 天地真理、安達明、久保浩、美樹克彦、あべ静江

故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・木下惠介のこと

特集 故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・...

「つつましく生きる庶民の情感」を映像にした49作品

仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監督の信念

特集 仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監...

「人間の條件」「怪談」「切腹」等全22作の根幹とは

挑戦し続ける劇団四季

特集 挑戦し続ける劇団四季

時代を先取りする日本エンタテインメント界のトップランナー

御存知! 東映時代劇

特集 御存知! 東映時代劇

みんなが拍手を送った勧善懲悪劇 

寅さんがいる風景

特集 寅さんがいる風景

やっぱり庶民のヒーローが懐かしい

アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

特集 アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

60年以上にわたる創造の全貌

東京日本橋浜町 明治座

特集 東京日本橋浜町 明治座

江戸薫る 芝居小屋の風情を今に

「花椿」の贈り物

特集 「花椿」の贈り物

リッチにスマートに、そしてモダンに

俳優たちの聖地「帝国劇場」

特集 俳優たちの聖地「帝国劇場」

演劇史に残る数々の名作生んだ百年のロマン 文=山川静夫

秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

特集 秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

役柄と素顔のはざまで

秋山庄太郎ポートレートの美学

特集 秋山庄太郎ポートレートの美学

美しきをより美しく

久世光彦のテレビ

特集 久世光彦のテレビ

昭和の匂いを愛し、 テレビと遊んだ男

加山雄三80歳、未だ青春

特集 加山雄三80歳、未だ青春

4年前、初めて人生を激白した若大将

昭和は遠くなりにけり

特集 昭和は遠くなりにけり

北島寛の写真で蘇る団塊世代の子どもたち

西城秀樹 青春のアルバム

特集 西城秀樹 青春のアルバム

スタジアムが似合う男とともに過ごした時間

「舟木一夫」という青春

特集 「舟木一夫」という青春

「高校三年生」から 55年目の「大石内蔵助」へ

川喜多長政 &かしこ映画の青春

特集 川喜多長政 &かしこ映画の青春

国際的映画人のたたずまい

ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

特集 ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

監督と女優の二人三脚の映画人生

中原淳一的なる「美」の深遠

特集 中原淳一的なる「美」の深遠

昭和の少女たちを憧れさせた中原淳一の世界

向田邦子の散歩道

特集 向田邦子の散歩道

「昭和の姉」とすごした風景

あの人この人の、生前整理archives

あの人この人の、生前整理archives
読者の声
Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial
error: Content is protected !!