23.03.01 update

向田邦子に認められた好感度抜群のお茶の間の人気俳優 竹脇無我

プロマイドで綴る わが心の昭和アイドル&スター

大スター、名俳優ということで語られることがない人たちかもしれないが、
青春の日々に密かに胸をこがし、心をときめかせた私だけのアイドルやスターたちがいる。
今でも当時の映画を観たり、歌声を聴くと、憧れの俳優や歌手たちの面影が浮かび、懐かしい青春の日々がよみがえる。
プロマイドの中で永遠に輝き続ける昭和の〝わが青春のアイドル〟たちよ、今ひとたび。

企画協力・写真提供:マルベル堂

©マルベル堂

 俳優・竹脇無我を知ったのは小学生のときに観た1966年の東芝日曜劇場の単発ドラマ「流鏑馬」だった。立原正秋の小説を石井ふく子プロデューサーが映像化した作品で、主演は岡田茉莉子。22歳の竹脇は精悍な若者という印象だった。次に観たのは、中学生時代に放送されていた68年の浅丘ルリ子主演の連続ドラマ「水色の季節」で、高橋悦史、細川俊之、高峰三枝子、山形勲らの共演で、竹脇は浅丘をめぐる男たちの一人だった。この2作で、子供時代から映画やドラマ好きだった僕の中で、竹脇無我は気になる俳優の仲間入りをした。その後、竹脇無我はテレビドラマで引っ張りだこの俳優となるのだから、子供の眼も侮れない。

 もっとも、その時代の僕にとって竹脇無我といえば、TBS系で月曜から土曜の午前7時台に放送されていた、若者向けの情報番組「ヤング720」だ。竹脇無我は、松山英太郎、関口宏、由美かおる、小川知子、大原麗子らと一緒に司会を担当し、曜日別に男女のペアで番組を進行していたのだ。ファッションや映画や星占いといった若者にとっての気になる情報を発信していた番組で、ブームの先取りでグループサウンズが次々に出演して曲を披露していた。ザ・カーナビーツ、ザ・ジャガーズ、オックス、ヴィレッジ・シンガーズ、ズー・ニー・ヴーなどの存在もこの番組で知った。VANやJUNといったファッションブランド、アイビールックの「MENS CLUB」といったファッション誌に興味を持ち始めていたころで、ファッション誌や音楽専門誌などに登場しているトレンド・リーダーが出演するこの番組は、僕にとっては欠かせない情報源だった。毎朝、朝ごはんを食べながらこの番組を観てから登校していた。

 竹脇無我は60年に、津川雅彦と芳村真理が主演した映画『しかも彼等は行く』で俳優デビューしている。映画で記憶に残るのは70年の『姿三四郎』での主演、田宮二郎、渡哲也、高橋英樹を脇に回して主役の青成瓢吉を演じた72年の加藤泰監督の『人生劇場』、同じく加藤泰監督作品で、田宮二郎、渡哲也、石坂浩二らが共演した73年の『花と竜』あたりだろうか。僕が好きになった俳優・竹脇無我はブラウン管の中にいた。

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映画は死なず

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