プロマイドで綴る
わが心の昭和アイドル&スター
大スター、名俳優ということで語られることがない人たちかもしれないが、
青春の日々に密かに胸をこがし、心をときめかせた私だけのアイドルやスターたちがいる。
今でも当時の映画を観たり、歌声を聴くと、憧れの俳優や歌手たちの面影が浮かび、懐かしい青春の日々がよみがえる。
プロマイドの中で永遠に輝き続ける昭和の〝わが青春のアイドル〟たちよ、今ひとたび。
企画協力・写真提供:マルベル堂
島田陽子の名前を知ったのは1971年のテレビドラマ「続・氷点」での辻口陽子役だった。本作は66年に三浦綾子の新聞連載小説をドラマ化した「氷点」の続編に当たる。「続・氷点」も新聞連載小説だった。「氷点」は、人間の原罪をテーマに〝まま子いじめ〟〝夫婦の愛憎〟の物語が描かれ、最終回の視聴率は42パーセントを超えた大ヒットドラマ。
通り魔に娘を殺された辻口啓造・夏枝夫婦。娘が殺されたとき、夏枝は若い医師から愛の告白を受けていて、啓造は、娘が殺されたのは、夏枝の浮気が原因だと思い込む。啓造は復讐心もあって、犯人の娘・陽子を養女にし、夏枝に育てさせる。陽子を我が子のように可愛がっていた夏枝が、その事実を知ったとき、表面には見えない形ですさまじいまま子いじめが始まる。そして、陽子はすべては自分の罪と、自殺に追い込まれる。ところが……。啓造に芦田伸介、夏枝に新珠三千代という配役で、陽子のけなげな姿は視聴者の涙を誘い、陽子役の内藤洋子は一躍人気スターの座に躍り出た。映画化もされるなど、当時は〝氷点ブーム〟と呼ばれるほど、テレビ史に刻まれる作品となった。
その続編であるドラマだけに、陽子役が注目された。島田陽子は2万人を超える応募者から選ばれた。辻口夫妻には二谷英明と南田洋子、そのほか、近藤正臣、細川俊之、浜木綿子、草笛光子など配役も豪華だった。島田陽子もまた、〝陽子〟役を魅力的に演じ切り、女優への大きな一歩を踏み出した。「氷点」の話が長くなってしまったが、要するに、〝陽子〟という役は、ドラマ界が注目する、それほど大きな役であったということである。
てっきり「続・氷点」が島田陽子のデビュー作だとばかり思いこんでいたが、そういえば「仮面ライダー」にも出演していたし、さらにそれ以前の70年に当時東京12チャンネル(現・テレビ東京)の連続ドラマ「おさな妻」で、麻田ルミ演じる主人公の高校の同級生役で出演していたのだ。数年前、CSで放送されたとき島田陽子を発見したときは嬉しかった。これがデビュー作だったのだ。