NHK放送博物館
1925 年当時、標高25.7mの愛宕山は都内で一番高い山で、遠く東京湾も見渡せたという。この愛宕山の地から日本初のラジオ放送が始まった。この“ 放送のふるさと・愛宕山”に放送専門のミュージアム「NHK放送博物館」が開館したのは1956年。放送はラジオからテレビへ、さらに衛星放送やハイビジョン、そしてデジタル放送へと大きく進歩してきた。技術の進歩も一目瞭然だが、懐かしい資料やドラマの台本もあり、さまざまな昭和の思い出のシーンをよみがえらせてくれる博物館である。
〔住〕 港区愛宕2-1-1 〔問〕 03-5400-6900
Diichi Sankyo くすりミュージアム
江戸時代から栄えた東京・日本橋は、薬の街として親しまれてきた。2012 年2月、日本橋の第一三共(株)の本社ビルに「くすりについて楽しみながら学べる施設」をコンセプトにした「Daiichi Sankyo くすりミュージアム」が誕生。館内は、コーポレートカラーのブルーが基調とされており、ICチップを内蔵した“メダル”を使い、クイズやゲーム形式で、薬の働きや開発プロセスなどを体験しながら学べるようになっている。施設内は2つのゾーンに分かれており、ゾーン1では、「からだとくすり」に焦点をあて、ミクロの体内世界を知ることができる。ゾーン2では、長い年月が必要な医薬品の開発過程や担当者のインタビュー、研究所の風景など一般に知られていない企業活動がわかる。シアターでは、紀元前から始まる薬の歴史や薬と日本橋の関わりについて学べる。
[住] 中央区日本橋本町3-5-1 第一三共㈱本社ビル [問]03-6225-1133
世界のカバン博物館
「世界のカバン博物館」は、その名の通り、世界五大陸50カ国以上から収集された550 点余りの大変珍しいカバンや著名人から寄贈された愛用のバックなどが展示されている。特に、ワニ革のキャビントランクは、クロコダイル12 匹を使ったモラビト社(フランス)の最高級船旅用トランクで、世界に3 個しか現存しないと言われているもの。長嶋茂雄さんや80 歳でエベレスト登頂に成功した三浦雄一郎さんのボストンバックからは勝負に挑んだ男の気迫が伝わってくる。ヨーロッパ各国の様々な特徴と高いデザイン性をもつカバンや、アフリカの庶民が日常使用しているカバン、オセアニアの樹皮や葉っぱ、アジアの鳥の羽を素材にしたカバンなど世界各国の文化・風俗の違いや変遷が感じられる。年代的に古いカバンが多いが、時の流れを感じさせないほど保存状態が良いのは、エース株式会社の創業者、新川柳作氏のカバンに対する愛情が企業文化に根付いているからだろう。8 階のラウンジには創業者の人柄や業績がわかる資料も展示されていて、休憩スペースもあり、窓外にはスカイツリーもくっきり見える。一見の価値ある博物館だ。
〔住〕 台東区駒形1-8-10 〔問〕 03-3847-5680
日本文具資料館
「日本文具資料館」は、1985 年、文具メーカー・卸・小売の各企業や、個人の寄贈によって設立した博物館。館内はさほど広いスペースではないが、筆、硯、万年筆、鉛筆、そろばん、ペーパーナイフ等々がショーケースに陳列され、文具と共に歩んだ人類の歴史を学べる資料館だ。硯を例にとっても、中国の「端渓大硯」(横47×縦70㎝)、「端渓欄亭硯」「玉石硯」その他中国古硯など貴重な硯が陳列されている。特に「端渓大硯」はその大きさもさることながら、瞳のような縁の模様は、中世海底に生息していた石連虫の化石と言われている。平安堂造筆の「超大筆」は、全長170㎝で重量は14㎏、穂先は馬50頭分のしっぽの毛から作られているもの。何とも迫力がある。どちらもレプリカであるが、伊達政宗と徳川家康の鉛筆が展示されている。伊達政宗の鉛筆は、お墓の副葬品の中から偶然見つかったものを復元した。小学生の塾の定番だったそろばんに目をやると1600 年代の大津そろばんや、ロシア、エジプトなど、世界の多種多様のそろばんが見られる。その他にも初期のタイガー計算機から小型化した計算機の変遷が見られ、江戸時代の筆を携帯する墨壷付矢立や「漢倭奴国王」の金印のレプリカなど、まさに文具の宝庫である。
〔住〕 台東区柳橋1-1-15(東京文具販売健保会館1 階) 〔問〕 03-3861-4905