23.05.10 update

写真界の巨匠、田沼武能が活写した“昭和の子供たち”の表情は、なぜ生き生きとしているのか

 2022年6月に93歳で急逝した写真家・田沼武能(たぬま たけよし)の逝去後初の大回顧展が、東京都写真美術館 地下一階展示室で、6月2日(金)~7月30日(日)開催される。

 1929年に東京浅草で生まれた田沼武能は、70年以上の長きにわたり写真家として活躍しながら、後進の指導にもあたっていた。20年にわたって日本写真家協会会長などの要職を務め日本の写真界の発展に尽くし、2019年には写真家として初の文化勲章を受章した。

 今回の「田沼武能 人間讃歌」展では、「戦後の子供たち」「人間万歳」「むさし野」の3章の構成により、70年以上にわたる写真家人生の軌跡を伝える。
 第1章「戦後の子供たち」では、戦後荒廃した中でも子供たちは紙芝居を楽しみ、神輿を担ぎ、たくましく生きていた。そんな子供たちの姿に胸が熱くなる。

▲《紙芝居はいつも次の日の展開が楽しみだ、佃島》 1955年 東京都写真美術館蔵
▲《神輿をかつぐ少女たち、浅草》 1955年 東京都写真美術館蔵

 第2章「人間万歳」では、世界の子供たちや人々を撮影した田沼が遺した85点の作品に触れる。ライフワークとして世界の子供たちを撮影した田沼は、黒柳徹子ユニセフ親善大使の各国訪問に自費で同行取材し、生涯で130を超える国と地域に足を運んだ。

 ▲《板に書かれたコーランで勉強、モーリタニア》 1997年 田沼武能写真事務所蔵

 また、田沼は多忙な海外取材の合間をぬって「武蔵野の自然」の撮影にも取り組んだ。戦後高度経済成長の陰で急速に姿を変えようとしていた日本の原風景を追い続けたのである。「武蔵野」シリーズより、本邦初公開となる未発表作品を含む57点が展示される。

▲《若宮橋の川遊び、坂戸市厚川》 2015年7月 田沼武能写真事務所蔵

田沼武能(たぬま たけよし)
1929年、東京・浅草生まれ(2022年6月1日没)。1949年にサン・ニュース・フォトスに入社後木村伊兵衛に師事。1966年、アメリカのタイム・ライフ社と契約。ライフワークとして世界の子供たち、人間のドラマ、武蔵野や文士・芸術家の肖像を撮り続けた。1995年から2015年まで日本写真家協会会長を務める。同年、東京工芸大学教授に就任(2004年より名誉教授)。1979年モービル児童文学賞、1985年菊池寛賞などを受賞。1990年紫綬褒章、2002年勲三等瑞宝章を受章、2003年文化功労者に表彰され、2019年に写真家初の文化勲章を受章。2020年朝日賞特別賞を受賞。

会場:東京都写真美術館 地下一階展示室(東京都目黒区三田1丁目13−3 恵比寿ガーデンプレイス内) 毎週月曜日休館、ただし、7月17日(月・祝)は開館、翌7月18日(火)休館


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