地球環境問題が私たちの身近なところに迫ってきている。世界を見渡しても大規模な気候変動が顕著だ。これから地球の環境はどうなってしまうのだろう、自然や資源の破壊は今後どう進むのだろう、と多くの人が地球環境の危機を感じる昨今、世界共通の喫緊の課題となっている。国際的なアートシーンにおいても重要なテーマとなって多くの展覧会が開催され、現代アートは環境危機とどう向き合ってきたか、その答えを導きだそうとしている。
森美術館では開館20周年を記念して、2023年10月18日(水)~24年3月31日(日)まで、「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」が開催される。「私たちとは誰か、地球環境は誰のものか」という問いかけであり、森美術館の会場には国内外34人のアーティストたちの「環境危機」への思いを込めた作品群が並ぶ。
会場に入るとホタテの貝殻約5トンが床に敷き詰めれている。それを踏みしめた時の感覚と音を体験するのだがこの貝殻はいずれ建材として使われる。すべてのものは再利用され循環するのだ。
1950年代から80年代、日本のアーティストが当時社会問題となっていた公害や放射能汚染問題にどのように向っていたかについて紹介されるコーナーもあれば、森美術館の1キロメートル圏内に育む植物を調査、採集して押し花にし、その名前や効能を紹介したジェフ・ゲイスの作品、インドのアランで解体された日本籍のケミカル・タンカー計器を用いて、海洋環境について、二つの場所と視点を考えるダニエル・ターナーの新作、ゴミを高温で溶解させたスラグと大理石を並置する保良雄のインスタレーションなど、アーティストそれぞれの制作意図を読み解くのも面白い。
また、本展の展示は、前の展覧会の壁パネルを一部再利用し、世界初の100%リサイクル可能な石膏ボードを採用するほか、再生素材を活用した建材の使用や、輸送を最小限にし、廃棄物の削減をめざして省資源化に取り組むなど、随所にサステナブルな展覧会づくりの取り組みを感じさせてくれる。
森美術館開館20周年記念展
「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」
会期:2023年10月18日(水)~2024年3月31日(日)
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
開館時間:10:00~22:00(火曜日のみ17:00まで ただし、1/2、3/19は22:00まで) 10/26(木)17:00閉館、*入館は閉館時間の30分前まで *会期中無休
事前予約制を導入。専用オンラインサイトから日時指定券の購入が可能。
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
森美術館サイト:https://www.mori.art.museum/jp/