肥後熊本54 万石を治めた細川家の下屋敷跡にある、東京で唯一の大名家の美術館「永青文庫」。細川家は南北朝時代の頼有(1332~91)を始祖とし、近世細川家の初代藤孝(幽斎、1534〜1610)と2代忠興(三斎、1563〜1645)が大名家の礎を築き、3代忠利より240 年にわたって熊本藩主をつとめるという、歴史ある名家である。初代藤孝は、15代将軍の足利義昭から織田信長を主君とし、明智光秀らとともに信長を支え、嫡男の忠興は、15歳のときに大和の片岡城を攻略したことが信長に認められ、自筆の感状を受けたのである。さらに忠興は、明智光秀の娘・玉(ガラシャ)を妻に迎え、明智家と姻戚関係になったのも信長の計らいだった。このように織田信長と細川家とは、厚い信頼関係で結ばれていたのである。
永青文庫には、信長の自筆の手紙が所蔵されており、59通の手紙は重要文化財に指定され、2022年には新たに1通発見された。これらの貴重な手紙が一カ所に所蔵されていることは大変珍しいことである。
野心家で冷酷、天才肌の武将というイメージが強い信長だが、真の信長はどんな人物だったのだろうか。本展は60通の手紙から信長像を読み解く。さらに細川家伝来の香木「蘭奢待」や、藤孝が13代将軍足利義輝より拝領した「柏木菟螺鈿鞍」(国宝)、伝藤孝所用「紅糸威腹巻」(熊本県指定重要文化財)、細川ガラシャ作と伝わる雨具「露払」、藤孝(幽斎)筆『源氏物語』(熊本県指定重要文化財)などが出展される。
令和6年度秋季展 熊本大学永青文庫研究センター設立15周年記念
信長の手紙 ―珠玉の60通大公開―
会期:2024年10月5日(土)~12月1日(日)会期中、一部展示替えあり
会場:永青文庫(文京区目白台1-1-1)
開館時間:10:00~16:30(入館は16:00まで)
休館日:毎週月曜日(ただし10/14、11/4は開館し、10/15、11/5は休館)
お問い合わせ:03-3941-0850
公式サイト:https://www.eiseibunko.com/