1968年12月、川端康成(当時69歳)は、日本人として初のノーベル文学賞を授与された。
鋭い洞察と柔らかな文体で書かれた作品は、時に切なく、時に官能的。日本の美を描いた作家として美しい文章を味わうことができる一方、新感覚派として先鋭的な作品も注目され、純文学のみならずドキュメンタリー、中間小説、少年少女小説など幅広いジャンルを手がけて読者を新たな世界へと誘った。
映画化された「伊豆の踊子」「雪国」「山の音」「古都」「眠れる美女」などの代表作をはじめ、没後50年となる現在も数多くの著書が読み継がれている。茶の湯の世界を背景にした鎌倉ゆかりの名作「千羽鶴」には志野茶碗が印象的に使われているが、川端は骨董蒐集家としても高い審美眼を持っていた。
本展では、数々の貴重な資料とともに、<川端文学>と<人間・川端康成>の多彩な世界が紹介される。川端旧蔵の《志野茶碗》や川端の没後に見つかった墨書の「雪国」抄本、ノーベル文学賞賞状なども出展される。
なお、会期中の記念イベントには、作家、クリエーターのいとうせいこう氏と小説家の奥泉光氏の文芸漫談 川端康成『雪国』(10/1)、本展編集委員の作家、荻野アンナ氏による講演(10/22)、『伊豆の踊子』(1963)の上映会(11/4.5)、俳優・竹下景子氏による朗読会(11/12)などが予定されている。
没後50年 川端康成展 虹をつむぐ人
会期:10月1日(土)~11月27日(日)
会場:横浜 山手 港の見える丘公園内
県立神奈川近代文学館
休館日:月曜日(10/10は開館)
お問い合わせ:045-622-6666