24.05.02 update

人々はどうやって映画を愉しんできたのか、鎌倉市川喜多映画記念館 開催中の企画展「映画館のエトセトラ」でもう一つ別の〝映画体験〟ができる

〈映画館は、「観る」だけじゃない。〉というキャッチフレーズの企画展「映画館のエトセトラ」が鎌倉市川喜多映画記念館で開催中だ。確かに映画ファンにとって、まず大きなスクリーンで映画を楽しめることが一番だが、映画館というちょっと非日常空間に来たんだ、という満足感を享受できるのは、壁に貼られた上映中の作品や次回上映予定の作品のポスターを眺めることができること、絵看板も懐かしいし、鑑賞前後に行き交う映画館のロビーの佇まい、人々の表情に作品の良し悪しを品定めした記憶もある。映画館ならではの楽しみ方は千差万別だ。鑑賞後にプログラムの冊子を争って買い求めた経験も思い出させてくれる本展は、映画館にまつわる様々な資料を展示しながら、特別な〝映画体験〟をさせてくれる。企画展での上映作品も「映画」そのものがテーマになっているものから、「映画館」を舞台にしているもの、スクリーンで観るべき作品まで多岐にわたってラインナップされている。たとえば、『ニュー・シネマ・パラダイス』、『蒲田行進曲』、『雄呂血<4Kデジタル修復版>』などなど改めて観なおす機会ができて嬉しい。6月22日(土)には、無声映画の案内人、現代の活動弁士の二人が登場し、巧みな話術で映画の世界に惹き込まれる体験ができる。

 期間中、『ローマの休日』『黒部の太陽』『イン・ザ・スープ』『ことの次第』『8 1/2』『軽蔑』『ゴーストバスターズ』『ラスト・アクション・ヒーロー』『ストレンジャー・ザン・パラダイス』『アメリ』『新幹線大爆破』『薔薇の名前』『さらば、わが愛 覇王別姫』『ロイドの初恋』『さすらい』なども上映される。

『ローマの休日』
『黒部の太陽』

 5月14日(火)~19日(日)のシネマウィークでは、「戦禍のなかで~いま、考える《関東大震災》」をテーマに、『福田村事件』『キャメラを持った男たち~関東大震災を撮る~』『金子文子と朴烈』が上映される。

企画展「映画館のエトセトラ」
[会場 ] 鎌倉市川喜多映画記念館  [問]0467-23-2500
[開催期間] 4/13(土)~7/7(日) 
[開館時間] 9:00―17:00 休館:月曜日、5/7(5/6開館)
[上映スケジュール] https://kamakura-kawakita.org

映画は死なず

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