しっとりと格調高い大人の恋愛映画『山逢いのホテルで』が、11月29日(金)より、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開となる。
スイスの山間の町で仕立て屋を営むシングルマザーのクローディーヌは、障がいのある息子を甲斐甲斐しく世話する母親の顔と、毎週火曜日、山の上のホテルで一人旅の男性客を選んでは、その場限りのアヴァンチュールを楽しむ女の2つの顔を持っている。決してお金のためではない。彼女が男たちと寝るのは、純粋に肉体の快楽を求めて。人生のすべてを息子に捧げている彼女にとって、それが唯一、自分への褒美なのだ。
そんなある日、予期せぬ出来事が起こる。あろうことか、ベッドを共にした男がクローディーヌに惚れ、彼女もまた彼に夢中になってしまう。そうして彼女の日常は大きく揺さぶられることになる。もう恋を追いかけることなど想像もしなかったクローディーヌ、一生息子の面倒を見ると決めていた彼女が、再び女として目覚めようとしていた…。
本作は、ダイアナ妃が交通事故で急逝する1997年が舞台だ。クローディーヌと息子のバティストがダイアナ妃に憧れるのは、象徴的と言えるだろう。ダイアナ妃こそ、母と女を両立させた代表的な存在だからだ。
クローディーヌがホテルに向かうときに纏う真っ白なワンピースもまた、どこかダイアナ妃を彷彿とさせる。「アヴァンチュール」という言葉が想起させるセクシュアルなスタイルとは対照的な、清楚なドレス。白いレインコートを羽織ってスカーフを巻き、都会的なショートブーツで毅然と歩くクローディーヌには、自立した女性の威厳が感じられる。そんな姿をたまたま目にした男性が、見惚れてしまうのも頷ける。
クローディーヌに扮するのは、フランスの名優、ジャンヌ・バリバール。『ボレロ 永遠の旋律』(24)では圧巻のダンスを披露し、また自らもメガホンを握り長編を2本制作しているマルチアーティストである。バリバールの相手役に扮するのが、ドイツのテレビシリーズなどで知られる人気俳優、トーマス・サーバッハー。「文学的で知的な一面を持ちながら飾らない魅力があり、メランコリックでカリスマ性がある」と、ラッパズ監督から太鼓判を押され、控えめながら包容力あふれる魅力を発揮している。
さらに本作の雰囲気を決定づける重要な役割を果たしているのが、スイスの壮大な山間の風景だ。
人生を諦めかけていたとき、思わぬ偶然が心を揺さぶり、運命を変えるようなきっかけをもたらす。本作は道を失ったすべての女性たちに捧げる、女性讃歌の物語でもある。
『山逢いのホテルで』
11月29日(金)よりシネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
© GoldenEggProduction | Paraíso Production | Fox the Fox 2023
配給:ミモザフィルムズ
【公式サイト】https://mimosafilms.com/letmego/
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応募〆切:11月25日(月)