日本初公開のサンディエゴ美術館コレクション全49点と、国立西洋美術館コレクション39点の作品を見比べながら西洋美術の面白さを体感する『西洋絵画、どこから見るか? ─ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 VS 国立西洋美術館』が開催されます。
サンディエゴ美術館は、地元の有力市民たちの主導のもと1926年に開館しました。中でも核となるのはヨーロッパ古典絵画のコレクションで、それらは主に1930-40年代にかけて、パットナム姉妹を中心とした篤志家の協力により築かれました。そのラインナップは同国のコレクターが好んだ初期イタリア絵画や、サンディエゴの歴史を反映したスペイン美術に優作が多いことが特徴です。
一方、国立西洋美術館は、実業家松方幸次郎の収集した西洋美術コレクションの一部がフランスから日本に寄贈返還されるに伴い、東京・上野公園に1959年に設立されました。当初は、印象派を中心に19世紀から20世紀初頭の絵画と彫刻に限られていましたが、1960年代末以降古典絵画の網羅的な収集が開始され、現在ではゴシックからロマン主義に至る古典絵画を含む、6,000点以上の西洋美術作品を所蔵しています。
本展では、「作品をどのように見ると楽しめるか」という観点から、ルネサンスから19世紀末までの600年にわたる西洋美術の歴史を両館の所蔵品88点から紹介します。関連する作品をペアや小グループごとに展示、比較して鑑賞することで、様々な角度から絵画が持つストーリーを深掘りしていただます。サンディエゴ美術館と国立西洋美術館の競演をお楽しみください。
18世紀末から19世紀初頭にかけて、フランスでは数多くの女性芸術家が活躍しました。カペとブノワもそうした二人で、女性が初めて出品を認められた1791年の官展に出品しています。カペの自画像では、ヴォリュームを強調した巻き髪や淡いブルーのリボンとドレスがロココの雅なファッションを伝えるのに対し、ブノワの女性像は、ギリシャ彫刻を思わせる薄手の白いシュミーズドレスの上にショールをまとい、より簡潔な新古典主義の時代の到来を伝えています。
聖母子はルネサンスを通じて最も頻繁に描かれた画題の一つで、窓枠のような細長い欄干の向こう側に半身像のマリアが幼児キリストと共に立つタイプは、とりわけ15世紀後半に好まれた形式です。ヴェネツィアで絵を学んだクリヴェッリは、イコン画に由来する天の女王としてのマリアを厳粛で威厳に満ちた存在として描き出し、一方フィレンツェの盛期ルネサンスを代表するデル・サルトは、愛情豊かな母としてのマリアの姿をより身近な存在として表現しました。
フランス人画家ブーグローとスペイン人画家ソローリャは、それぞれ生前にアメリカで極めて高い人気を誇りました。フランスのアカデミックな伝統に基づき、精緻な筆致で現実には存在しない理想郷の女性を描き続けたブーグローと、ベラスケスやゴヤを介して受け継がれたスペイン絵画の写実伝統に基づき、卑近なモデルの何気ない仕草や表情を捉えたソローリャ。印象派とは一味異なる、19世紀絵画の多彩な魅力を紹介します。
西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで
サンディエゴ美術館 vs 国立西洋美術館
【東京会場】
会期:2025年3月11日(火)-6月8日(日)
会場:国立西洋美術館
開館時間:9:30~17:30(金・土曜日は20:00まで)*入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日、5月7日(水)(ただし、3月24日(月)、5月5日(月・祝)、5月6日(火・休)は開館)
観覧料:一般2,300円、大学生1,400円 高校生:1,000円
展覧会公式サイト:https://art.nikkei.com/dokomiru/
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
観賞券プレゼント:5組10名様
応募〆切:3月8日(金)