23.09.25 update

第31回 浅丘ルリ子、吉永小百合、若尾文子ら日活&大映スター、成城に現る!

1932年、東宝の前身である P.C.L.(写真化学研究所)が
成城に撮影用の大ステージを建設し、東宝撮影所、砧撮影所などと呼ばれた。
以来、成城の地には映画監督や、スター俳優たちが居を構えるようになり、
昭和の成城の街はさしずめ日本のビバリーヒルズといった様相を呈していた。
街を歩けば、三船敏郎がゴムぞうりで散歩していたり、
自転車に乗った司葉子に遭遇するのも日常のスケッチだった。
成城に住んだキラ星のごとき映画人たちのとっておきのエピソード、
成城のあの場所、この場所で撮影された映画の数々をご紹介しながら
あの輝きにあふれた昭和の銀幕散歩へと出かけるとしましょう。

 二年間に亘り、数多くの成城ロケ映画や成城に住んだ映画人をご紹介してきた本連載も、いよいよ大詰め。成城ロケ映画は、その多くが東宝や新東宝作品であったわけだが、かねて述べてきたとおり、調布に撮影所のあった大映と日活も頻繁に成城でロケーションを行っている。今回は、日活や大映のスターたちが成城に現れた形跡を辿ってみたい。

左は日活、右が角川大映撮影所の近影 撮影:神田亨

 筆者が生まれる前から、大映で活躍していたのが若尾文子である。『十代の性典』シリーズで注目された1953年、溝口健二監督の『祇園囃子』に抜擢。以降、大映を代表する看板女優に成長していく彼女が、若手時代に他社出演したのが『月に飛ぶ雁』(55年)という東宝映画。のちに『社長』シリーズを手がける松林宗恵監督による‶女子大生もの〟で、若尾は成城(自宅がある設定)のいちょう並木を歩くシーンを与えられている。
 翌56年から、若尾は〝花嫁〟や〝新妻〟、〝新婚〟などのワードが付された娯楽作品に多く出演。その中の『新婚日記 嬉しい朝』(56年)と『新婚七つの楽しみ』(58年)で、「成城学園前駅」北口商店街に姿を見せている。これらの作品で若尾は、「村田永楽園」(駅前の花店)、「喜多見不動産」、「当間ブリキ店」などの店先に立っていて、画面からはブリキ屋などの店舗が長屋状であったことや、北口駅前広場が未舗装だったことが確認できる。これも成城の街の貴重な記録である。

成城北口を東西に走る道路。右手の成城コルティはかつて広場で、土俵や街頭テレビもあった(筆者撮影)。
右は1957年の同所 写真提供:成城学園教育研究所

1 2 3 4

映画は死なず

新着記事

  • 2024.05.28
    小田急電鉄の子育て応援マスコットキャラクター「もこ...

    6月4日から運行開始

  • 2024.05.28
    泉屋博古館東京 企画展「歌と物語の絵 ─雅やかな...

    6月1日(土)~7月21日(日)

  • 2024.05.27
    夏本番! ゲリラ豪雨の浸水を防いでくれる止水製品を...

    都市に起こる「内水氾濫」とは?

  • 2024.05.27
    駅前に佇む樹

    【スマホ散歩】孤高に聳え立つ

  • 2024.05.27
    仲代達矢と双璧をなす「俳優座」の逸材、平幹二朗は演...

    スケールの多い演技で、数々の賞を受賞

  • 2024.05.24
    吉永小百合とのコンビによる純愛路線映画『泥だらけの...

    日活青春スターとして忘れられない存在

  • 2024.05.24
    バブル期からの拝金主義で「他人を思いやることの大切...

    6月14日(金)全国公開

  • 2024.05.23
    イギリス新作映画初登場でナンバーワンの大ヒット!ま...

    6月7日(金)全国公開

  • 2024.05.23
    ホキ美術館「作家の視線─ 過去と現在、そして…」観...

    応募〆切:6月30日(日)

  • 2024.05.23
    明治期の数少ない近代洋風建築の「フェリーチェガーデ...

    6月1日(土)リニューアルオープン

特集 special feature 

わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の  「芸業」

特集 わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の 「芸業...

棟方志功の誤解 文=榎本了壱

VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いなる遺産

特集 VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いな...

「逝ける映画人を偲んで2021-2022」文=米谷紳之介

放浪の画家「山下 清の世界」を今。

特集 放浪の画家「山下 清の世界」を今。

「放浪の虫」の因って来たるところ 文=大竹昭子

「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

特集 「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

「いい顔」と「いい顔」が醸す小津映画の後味 文=米谷紳之介

人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

特集 人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

わが母とともに、祐三のパリへ  文=太田治子

ユーミン、半世紀の音楽旅

特集 ユーミン、半世紀の音楽旅

いつもユーミンが流れていた 文=有吉玉青

没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、展覧会「萩原朔太郎大全」の旅 

特集 没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、...

言葉の素顔とは?「萩原朔太郎大全」の試み。文=萩原朔美

「芸術座」という血統

特集 「芸術座」という血統

シアタークリエへ

喜劇の人 森繁久彌

特集 喜劇の人 森繁久彌

戦後昭和を元気にした<社長シリーズ>と<駅前シリーズ>

映画俳優 三船敏郎

特集 映画俳優 三船敏郎

戦後映画最大のスター〝世界のミフネ〟

「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の流行歌 

昭和歌謡 「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の...

第一弾 天地真理、安達明、久保浩、美樹克彦、あべ静江

故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・木下惠介のこと

特集 故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・...

「つつましく生きる庶民の情感」を映像にした49作品

仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監督の信念

特集 仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監...

「人間の條件」「怪談」「切腹」等全22作の根幹とは

挑戦し続ける劇団四季

特集 挑戦し続ける劇団四季

時代を先取りする日本エンタテインメント界のトップランナー

御存知! 東映時代劇

特集 御存知! 東映時代劇

みんなが拍手を送った勧善懲悪劇 

寅さんがいる風景

特集 寅さんがいる風景

やっぱり庶民のヒーローが懐かしい

アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

特集 アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

60年以上にわたる創造の全貌

東京日本橋浜町 明治座

特集 東京日本橋浜町 明治座

江戸薫る 芝居小屋の風情を今に

「花椿」の贈り物

特集 「花椿」の贈り物

リッチにスマートに、そしてモダンに

俳優たちの聖地「帝国劇場」

特集 俳優たちの聖地「帝国劇場」

演劇史に残る数々の名作生んだ百年のロマン 文=山川静夫

秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

特集 秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

役柄と素顔のはざまで

秋山庄太郎ポートレートの美学

特集 秋山庄太郎ポートレートの美学

美しきをより美しく

久世光彦のテレビ

特集 久世光彦のテレビ

昭和の匂いを愛し、 テレビと遊んだ男

加山雄三80歳、未だ青春

特集 加山雄三80歳、未だ青春

4年前、初めて人生を激白した若大将

昭和は遠くなりにけり

特集 昭和は遠くなりにけり

北島寛の写真で蘇る団塊世代の子どもたち

西城秀樹 青春のアルバム

特集 西城秀樹 青春のアルバム

スタジアムが似合う男とともに過ごした時間

「舟木一夫」という青春

特集 「舟木一夫」という青春

「高校三年生」から 55年目の「大石内蔵助」へ

川喜多長政 &かしこ映画の青春

特集 川喜多長政 &かしこ映画の青春

国際的映画人のたたずまい

ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

特集 ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

監督と女優の二人三脚の映画人生

中原淳一的なる「美」の深遠

特集 中原淳一的なる「美」の深遠

昭和の少女たちを憧れさせた中原淳一の世界

向田邦子の散歩道

特集 向田邦子の散歩道

「昭和の姉」とすごした風景

あの人この人の、生前整理archives

あの人この人の、生前整理archives
読者の声
Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial
error: Content is protected !!