23.12.18 update

第8回【私を映画に連れてって!】 カールスモーキー石井と映画監督・石井竜也、そして旧ジャニーズ事務所への忖度の時代に関わって……

 今年、社会では「ジャニー喜多川性加害」問題が大きな出来事になった。

「性加害」に関しては犯罪であり、刑事事件マターなのでここでは言及しない。
 業界としての問題は〝忖度〟である。僕もフジテレビに在籍していたので、ほぼ実態は知っているつもりである。当時は〝忖度〟という言葉もなく、〝慣例〟で、そうなっていたと思う。
 結局、最終的には、ジャニー氏の一言「海外に1か月も行ったら悪いこと覚えてくる」で出演は無くなった。マネージャーは前向きに頑張ってくれ、本人とは衣装合わせの打ち合わせもしていた。撮影まで1か月を切っていた。

 その3か月後の1996年4月。フジテレビで、「SMAP×SMAP」がスタートする。この番組の企画段階(1995年後半)では、僕は「映画部」から異動で「編成部」におり、企画の立ち上がりから、その編成会議にも参加していたことになる。絶頂期のフジテレビで、自分も大好きな番組のひとつで、2016年12月まで続いた。

 この番組を核として<ジャニーズ事務所>への忖度はとどまることがない程、各局、映画界にも拡がっていったように思う。よく「ジャニーズ事務所の言いなり」という誌面を見るが、まさにドラマも音楽番組も、ジャニーズ事務所のタレントを中心にキャスティングして行かざるを得なくなった。それだけ、魅力のあるタレントも多く在籍したという事でもあるのだが。

 日本はアメリカなどと比べて、テレビも映画もオーディションで決まることは極めて少ない国だが、ある意味ではジャニーズ事務所のオーディションに夢を持ち、才能がある若者たちが応募して選ばれてきたということかもしれない。

 プライムタイムのドラマの主演にはコンスタントにジャニーズのタレントが一番にキャスティングされ、多くの主題歌はその関連グループが歌うことが〝慣例〟になった。

 それは「東京ラブストーリー」の「ラブ・ストーリーは突然に」(1991/小田和正)や「愛という名のもとに」の「悲しみは雪のように」(1992/浜田省吾)の決まり方とは違うのである。

 作品に相応しいキャスティングや音楽のクリエイティブ面での弊害が、「ジャニーズ問題」の最も罪作りなところだったと思う。

 個人的には、一度もジャニーズ事務所の俳優陣、アイドルとも仕事をすることが無かった。今回の事件後は、ノーマルなエージェントシステムの中で、才能のある人は活躍の場を拡げ、プロデューサーサイドとしては、役に相応しいキャスティングをしていきたい。

1 2 3 4 5

新着記事

  • 2026.01.29
    第19回『東宝映画スタア☆パレード』三國連太郎 ひ...

    文=高田雅彦

  • 2026.01.29
    第69回【萩原朔美 スマホ散歩】風の日の記憶

    強く冷たい風を撮る

  • 2026.01.29
    松岡美術館「笑い滴る 春と夏の日本画名品選」観賞券

    応募〆切:2月27日(金)

  • 2026.01.29
    大ヒットドラマが映画『五十年目の俺たちの旅』となっ...

    中村雅俊「俺たちの旅」

  • 2026.01.27
    徳川慶喜、渋沢栄一ほか多くの歴史人を訪ねる谷中散歩...

    谷中さんぽを楽しむ

  • 2026.01.27
    【お出かけ情報】小田急多摩センター駅が新たにサンリ...

    小田急多摩センター駅がリニューアル

  • 2026.01.26
    12年ぶりの共演となる当世を代表する俳優、藤山直美...

    2月5日(木)~24日(火)

  • 2026.01.26
    【箱根びと訪問】伝統と格式を守りながらイノベーショ...

    小田急山のホテル 小山哲史支配人

  • 2026.01.22
    【お出かけ情報】いちご狩り体験がいよいよシーズン!...

    京成沿線いちご狩り

  • 2026.01.22
    「とんでとんで」「まわってまわって」と日本中に広ま...

    円広志「夢想花」

映画は死なず

特集 special feature  »

<特集>今、時代劇が熱い! 第三弾 主演北大路欣也が語る「三屋清左衛門残日録」~時代劇にはまだまだ未来がある~

特集 <特集>今、時代劇が熱い! 第三弾 主演北大路欣也が...

藤沢周平原作時代劇「三屋清左衛門残目録」の章

松田聖子デビューから45年、伝説のプロデューサー若松宗雄が語る誕生秘話〈わが昭和歌謡はドーナツ盤〉特別企画

特集 松田聖子デビューから45年、伝説のプロデューサー若松...

〈わが昭和歌謡はドーナツ盤〉特別企画

わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の  「芸業」

特集 わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の 「芸業...

棟方志功の誤解 文=榎本了壱

VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いなる遺産

特集 VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いな...

「逝ける映画人を偲んで2021-2022」文=米谷紳之介

放浪の画家「山下 清の世界」を今。

特集 放浪の画家「山下 清の世界」を今。

「放浪の虫」の因って来たるところ 文=大竹昭子

「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

特集 「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

「いい顔」と「いい顔」が醸す小津映画の後味 文=米谷紳之介

人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

特集 人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

わが母とともに、祐三のパリへ  文=太田治子

ユーミン、半世紀の音楽旅

特集 ユーミン、半世紀の音楽旅

いつもユーミンが流れていた 文=有吉玉青

没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、展覧会「萩原朔太郎大全」の旅 

特集 没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、...

言葉の素顔とは?「萩原朔太郎大全」の試み。文=萩原朔美

喜劇の人 森繁久彌

特集 喜劇の人 森繁久彌

戦後昭和を元気にした<社長シリーズ>と<駅前シリーズ>

映画俳優 三船敏郎

特集 映画俳優 三船敏郎

戦後映画最大のスター〝世界のミフネ〟

「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の流行歌 

昭和歌謡 「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の...

第一弾 天地真理、安達明、久保浩、美樹克彦、あべ静江

故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・木下惠介のこと

特集 故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・...

「つつましく生きる庶民の情感」を映像にした49作品

仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監督の信念

特集 仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監...

「人間の條件」「怪談」「切腹」等全22作の根幹とは

挑戦し続ける劇団四季

特集 挑戦し続ける劇団四季

時代を先取りする日本エンタテインメント界のトップランナー

御存知! 東映時代劇

特集 御存知! 東映時代劇

みんなが拍手を送った勧善懲悪劇 

寅さんがいる風景

特集 寅さんがいる風景

やっぱり庶民のヒーローが懐かしい

アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

特集 アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

60年以上にわたる創造の全貌

東京日本橋浜町 明治座

特集 東京日本橋浜町 明治座

江戸薫る 芝居小屋の風情を今に

「芸術座」という血統

特集 「芸術座」という血統

シアタークリエへ

「花椿」の贈り物

特集 「花椿」の贈り物

リッチにスマートに、そしてモダンに

俳優たちの聖地「帝国劇場」

特集 俳優たちの聖地「帝国劇場」

演劇史に残る数々の名作生んだ百年のロマン 文=山川静夫

秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

特集 秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

役柄と素顔のはざまで

秋山庄太郎ポートレートの美学

特集 秋山庄太郎ポートレートの美学

美しきをより美しく

久世光彦のテレビ

特集 久世光彦のテレビ

昭和の匂いを愛し、 テレビと遊んだ男

加山雄三80歳、未だ青春

特集 加山雄三80歳、未だ青春

4年前、初めて人生を激白した若大将

昭和は遠くなりにけり

特集 昭和は遠くなりにけり

北島寛の写真で蘇る団塊世代の子どもたち

西城秀樹 青春のアルバム

特集 西城秀樹 青春のアルバム

スタジアムが似合う男とともに過ごした時間

「舟木一夫」という青春

特集 「舟木一夫」という青春

「高校三年生」から 55年目の「大石内蔵助」へ

川喜多長政 &かしこ映画の青春

特集 川喜多長政 &かしこ映画の青春

国際的映画人のたたずまい

ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

特集 ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

監督と女優の二人三脚の映画人生

中原淳一的なる「美」の深遠

特集 中原淳一的なる「美」の深遠

昭和の少女たちを憧れさせた中原淳一の世界

向田邦子の散歩道

特集 向田邦子の散歩道

「昭和の姉」とすごした風景

あの人この人の、生前整理archives

あの人この人の、生前整理archives
読者の声
Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial
error: Content is protected !!