22.12.27 update

第8回 脱いでみようか。野際陽子さんのお色気

人生百年時代――とはいえ、老いさらばえて100歳を迎えたくはない。
健康で生気みなぎるような日々を過ごせてこそ、ナイス・エイジングだ!
西洋医学だけでなく東洋医学、ホメオパシー、代替医療まで、
人間を丸ごととらえるホリスティック医学でガン治療を諦めない医師、
帯津良一の養生訓は、「こころの深奥に〝ときめき〟あれ」と説く。


帯津良一・86歳のときめき健康法

文=帯津良一

 最近、野際陽子さんの書いた『脱いでみようか』(扶桑社)を手に入れる機会に恵まれた。なんとも色気のある題名ではないか。瞬く間に野際陽子さんの色気が蘇ってきた。

 じつは昔、私が担当していた『週刊朝日』の「養生達人 健康問答」という番組(コーナー)で対談したのである。野際さんの出演する映画すら観たこともない初対面である。まさに一目惚れ、抱き着きたくなる衝動を抑えるのに苦労したものである。

 野際さんの生年月日は 
 1936年1月24日
 私のそれは
 1936年2月17日
 正真正銘の同級生である。対談の日は二人とも75歳。後期高齢者である。後期高齢者のお色気は強烈である。

 誌面の中からその一端を紹介しよう。
  ①(野際)膵臓がんかもしれないと言われたとき、若いころドロボーにナイフを突きつけられたときのように

 「自分の人生ってこういう筋書きだったのか」
 と思いました。
 筋書きとは人生を俯瞰して得られる旅情。野際さんは旅情の人だったのである。

  ②(帯津)昔の75歳といえば大変なものですよね。
   (野際)ええ。老婆ですよ。事件を起こすと新聞に老婆って書かれますからね。

 自分で老婆と言うところがいい。老婆のお色気って凄みがあるではないか。

  ③(野際)自分でスキー体操っていうのを考えたんですね。それは、スキーでストックを持つでしょう。そのかわりにダンベルを持って、その体勢でひざ曲げて、上体を動かさないでモーグルみたいにする。そうすると大腿筋にいいにちがいないって。同時に二の腕の筋肉を使うんですよ。一挙両得がいい。ただのスクワットはつまんないから、絶対お勧めです。

 大腿筋と二の腕の筋肉を鍛えるところがいい。わたしは和服の袖からこぼれ出た二の腕が大好きなのだ。

  ④(野際)もう後期高齢者なので、あと5年くらいたったら80、あと10年たったら85、何年ぐらい、どれくらい生きられるんだろうっていうのを考えますよね。この5年、10年っていうのは、本当に短い。今回の震災のようなことがあると、突然の死も覚悟しなければいけない。そうなると今日一日かみしめてってことになりますね。

 野際さんとのあの世での再会が楽しみだ。

▲『脱いでみようか』は、1996年‎ 扶桑社から発刊された。 野際陽子さんは、NHKのアナウンサーとして活躍後女優に転身、「キーハンター」などの代表作をはじめ、晩年は存在感のある母親役で人気を集めた。

 

おびつ りょういち
1936年埼玉県川越市生まれ。東京大学医学部卒業、医学博士。東京大学医学部第三外科に入局し、その後、都立駒込病院外科医長などを経て、1982年、埼玉県川越市に帯津三敬病院を設立。そして2004年には、池袋に統合医学の拠点、帯津三敬塾クリニックを開設現在に至る。日本ホリスティック医学協会名誉会長、日本ホメオパシー医学会理事長著書も「代替療法はなぜ効くのか?」「健康問答」「ホリスティック養生訓」など多数あり。その数は100冊を超える。現在も全国で講演活動を行っている。講演スケジュールなどは、https://www.obitsusankei.or.jp/をご覧ください。

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