「メリーアン」は、作詞・高見沢俊彦&高橋研、作曲・高見沢俊彦によるもので、高見沢は、フランス映画『わが青春のマリアンヌ』のヒロイン、マリアンヌをイメージしてつくった。マリアンヌを英語読みにすると「メリーアン」。絶世の美女マリアンヌをめぐる少年たちの想いをベースにしたものである。改めて高校時代に哲学書や詩集、歴史書が好きで乱読していたという、派手な衣装でギターを弾いている高見沢のもう一つの顔を見たような気がする。「メリーアン」で、第34回NHK紅白歌合戦にも出場を果たした。
この流れに乗るため、次曲の「星空のディスタンス」は練りに練ってヒットを狙ったというが、桜井の圧倒的な歌唱力に二人のコーラスが絡んで、銀河の果てまで飛んでいけそうな気持になるこの曲は,狙い通り大ヒットし、グループの代表曲になった。苦節10年の間に蓄積した力を爆発させるかのように快進撃が始まる。
当時アイドル全盛期でフォークやロック・バンドのアーティストたちは音楽番組出演を拒否していたが、ライブハウス時代から応援してくれているファンのために、感謝の気持ちをテレビで伝えたいと積極的に歌番組にも出演した。結果的にはファン層が拡がることにつながった。
ますます拍車がかかり、86年は「東京ベイエリア」での10万人のンサートをはじめ、年間100本を越えるコンサートで40万人を動員。この年、高見沢はアイドルの小泉今日子に「木枯らしに吹かれて」も提供した。それは、「後世になっても心に残る歌を作りたい」という願望もあったからだった。小泉にとっても「木枯らしに吹かれて」は代表曲になっている。この時期に聴くと心に沁みて来る「恋人たちのペイヴメント」(84)、元気が湧いてくる「SWEAT&TERAS」 (86)、桜井の美声がセクシーな「サファイアの瞳」(87)など好きな曲がたくさんある。
24年7月24日に「KO.DA.MA/ロマンスが舞い降りて来た夜」がリリースされたが、「メリーアン」以来、オリコンランキングで連続58作連続シングルTOP10入りし、男性アーティストとしては「嵐」と並んで歴代1位になった。ちなみに作品数1位はAKB48の62作。THE ARFEEならこの記録を更新するに違いない。
進化するビジュアル・ロックバンドのTHE ARFEE。彼らは過去を懐かしむグループではない。これからの活動がますます見逃せなくなった。ペンライトを持って私もコンサートに駆け付けたい気分になってきた。
文=黒澤百々子 イラスト=山﨑杉夫