西洋アンティークの楽しみ

~男にしかわからない古物への偏愛~

 

西洋アンティークは︑ヨーロッパの各国の歴史や文化が感じられることが魅力だ。
陶磁器やガラス器、銀器、家具、時計、ジュエリー、インテリア小物や照明器具……
大切に受け継いでゆく西洋の暮らしぶりを想像しながら、 自分の生活にも取り入れたい。
時代にこだわることなく、ブリキ缶、バスケット、フラワーベースなどのぬくもりのあるインテリア小物は、書斎やダイニングを心豊かにくつろげる空間を演出してくれる。
実用価値、美術価値、骨董的価値などさておいて自分だけのお気に入りのひとつを見つけに、街へ出かけよう。

執筆の守り神、真鍮の〝猿〟はロンドンからやって来た

 

昔、ロンドンで案内された泥棒市で あれこれ見てまわるうち何か買いたくなり、高さ十五センチほどの真鍮の猿に目が止まった。両足で立ち、何かを捧げるように手を差し伸べて広げ、少し横を向いた表情に愛敬がある。雄らしく股間にちょこんと突起のつくのも可愛らしい。

「イズイッツ、ラッキーモンキー?」
「オー、イエースイエース」
 
売る男は「そうですそうです」と大きく手を広げて真似した。案外重いのを鞄につめて仕事場に持ち帰り、 広げた腕に鉛筆を一本置くと「ご主人さまお疲れさまです、さあもう一仕事」と言うようだ。足の小さな穴は、もとは台があったのだろう。彼もはるばるロンドンから日本に新しい居場所を得た。以来、私の執筆の守り神。
 
机の真空管アンプの上にある、短い四脚に首の長い小さな青銅の馬(?) は京都で買ったもので中東風だ。機能本位のアンプにこれを置くと雰囲気が温かくなった。
 
鉛筆立て手前の、ややメキシコ貴族風のつばの広い帽子に肩カバン、鎖でロバを引く、高さ五センチに満たない真鍮置物はどこで買ったのか忘れた。
 
後年また訪れたロンドンで、有名なノッティングヒル・ポートベローの土曜 骨董市に目指して行った。およそ1キロもある通りの両側は露店が並んで人でぎっしりだ。まず右側、帰りは左側と決めてゆるゆると一巡。多いのはティーカップなど食器だが割れ物は敬遠し、目をつけたのは、細いガラス巻に気泡を一つ入れて建物などの水平をみる真鍮の水準器。古錆びて私には全く実用の意味はないが、こういう古い専門道具もまた好きなのだ。

…… 続きはVol.38をご覧ください。

おおた かずひこ

グラフィックデザイナー、作家。 グラフィックデザイナー、作家。著書に本欄が一冊になった『太田和彦の東京散歩 そして居酒屋』の他、『酒と人生の一人作法』など多数。


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