new 24.12.25 update

【帯津良一・88歳のときめき健康法】アロマテラピーを代替医療に導入した訳

人生百年時代――とはいえ、老いさらばえて100歳を迎えたくはない。
健康で生気みなぎるような日々を過ごせてこそ、ナイス・エイジングだ!
西洋医学だけでなく東洋医学、ホメオパシー、代替医療まで、
人間を丸ごととらえるホリスティック医学でガン治療を諦めない医師、
帯津良一の養生訓は、「こころの深奥に〝ときめき〟あれ」と説く。



連載16回

〈アロマハグ〉のお色気体験

文=帯津良一 

 先日の金曜日の夕刻、朝からの外来診療が終って、自室で一息入れていると、とんとんと扉をノックする音、

 「どうぞ!」

 と。入って来たのは楚楚とした中年の女性。

 はて? 何方(どなた)でしたっけ?

 この人の素性が分からず、一瞬の空白状態。

 「……アロマセラピストのYです。この度退職することになりました。20年間、本当にお世話になりました……」

と来たものです。

 そして、本当に久し振りにアロマテラピーを思い出しました。うちの病院でのアロマテラピーの歴史は古く、1987年秋の日本ホリスティック医学協会の設立時に遡(さかのぼ)ります。病院としてもホリスティック医学を標榜した以上、駆使できる代替医療を集めなくてはなりません。それまでが中西医結合のがん治療を旗印にかかげた病院でしたので、中国医学には事欠きません。用意万端です。

 その中国医学のあと、真っ先にやって来たのがアロマテラピーだったのです。それはアロマの専門家である林真一郎(はやし しんいちろう)さんとすでに交流があったからなのです。ここで、『お医者さんがすすめる代替療法』(帯津良一総合監修、学習研究社)のなかで林真一郎さんが書いているアロマテラピーの章の一部を紹介したいと思います。

 

 ◆マッサージと香りで心身を深く癒す

 植物から抽出した天然の精油(エッセンシャル・オイル)を用いた療法で、精油を皮膚から吸収させるアロマテラピー・トリートメントと鼻から香りを吸入する芳香浴のふたつの方法がある。

 

 ◆心理作用+薬理作用のダブル効果

 嗅覚には人の心理に深く働きかける作用があり、アロマテラピーではそれを心身の癒しに応用する。また、皮膚から吸収されて血中に入った精油の成分は薬理作用を発揮するといわれ、現在は医学的な研究が進められている。

  

 ◆ストレスで疲れた心を解きほぐす

 精油が共通してもつ効果としては、ストレス緩和や気分のリフレッシュ作用。それによって健康維持や病気予防に一定の役割を果たし、心身症の改善にも役立つと考えられる。また、不安や不眠症、風邪予防、頭痛、筋肉の緊張・痛み、月経前症候群や月経痛、更年期障害などにもよい影響をおよぼすといわれている。

  

 ◆女性を中心に広く受け入れられている

 日本では1980年代なかばから普及しはじめ、現在では3000名以上のアロマテラピストが活躍している。

と。

 彼女は私の著書を差し出して、サインを要望。サインが済むと、ハグを要望。わが自室で初めてのハグ。凄い色気だ! その後一日中ほのぼのとした気持ちに包まれたものです。


▲帯津三敬病院では漢方、鍼灸、ビワ温灸の治療、気功や音楽療法など、たくさんのプログラムが用意されているが、「香り」「タッチング」「コミュニケーション」で患者や家族の方たちと一緒に、ホリスティックな安らぎと活力を呼ぶ「アロマテラピー」はとても人気がある。写真は、帯津三敬病院で緩和ケアのアロマテラピストとして勤務していたYさんご提供。
 


おびつ りょういち
1936年埼玉県川越市生まれ。東京大学医学部卒業、医学博士。東京大学医学部第三外科に入局し、その後、都立駒込病院外科医長などを経て、1982年、埼玉県川越市に帯津三敬病院を設立。そして2004年には、池袋に統合医学の拠点、帯津三敬塾クリニックを開設現在に至る。日本ホリスティック医学協会名誉会長、日本ホメオパシー医学会理事長著書も「代替療法はなぜ効くのか?」「健康問答」「ホリスティック養生訓」など多数あり。その数は100冊を超える。現在も全国で講演活動を行っている。講演スケジュールなどは、https://www.obitsusankei.or.jp/をご覧ください。


こちらの記事もどうぞ
映画は死なず

新着記事

  • 2024.12.26
    主演・菅田将暉&井上真央『サンセット・サンライズ』...

    1月17日(金)全国公開

  • 2024.12.26
    中山美穂が横浜ビルボードのライブコンサートで最後に...

    中山美穂「You’re My Only Shinin’ Star」

  • 2024.12.25
    第6回【東宝映画スタア☆パレード】植木 等 ─ も...

    文=高田雅彦

  • 2024.12.25
    【帯津良一・88歳のときめき健康法】アロマテラピー...

    文=帯津良一

  • 2024.12.24
    第20回【私を映画に連れてって!】中山美穂は『Lo...

    文=河井真也

  • 2024.12.23
    松田聖子デビューから45年、伝説のプロデューサー若...

    〈わが昭和歌謡はドーナツ盤〉特別企画

  • 2024.12.19
    NHK紅白歌合戦の変遷をたどってみたら、東京宝塚劇...

    石橋正次「夜明けの停車場」

  • 2024.12.18
    坂本龍一が生前、東京都現代美術館のために遺した展覧...

    音と時間をテーマにした展覧会

  • 2024.12.18
    新しい年の幕開けに「おめでたい」をモチーフにした作...

    年明けに縁起物の美を堪能する

  • 2024.12.17
    第26回【キジュからの現場報告】喜寿を過ぎて─萩原...

    これからは地方の都市に住むかもしれない……

特集 special feature 

わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の  「芸業」

特集 わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の 「芸業...

棟方志功の誤解 文=榎本了壱

VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いなる遺産

特集 VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いな...

「逝ける映画人を偲んで2021-2022」文=米谷紳之介

放浪の画家「山下 清の世界」を今。

特集 放浪の画家「山下 清の世界」を今。

「放浪の虫」の因って来たるところ 文=大竹昭子

「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

特集 「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

「いい顔」と「いい顔」が醸す小津映画の後味 文=米谷紳之介

人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

特集 人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

わが母とともに、祐三のパリへ  文=太田治子

ユーミン、半世紀の音楽旅

特集 ユーミン、半世紀の音楽旅

いつもユーミンが流れていた 文=有吉玉青

没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、展覧会「萩原朔太郎大全」の旅 

特集 没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、...

言葉の素顔とは?「萩原朔太郎大全」の試み。文=萩原朔美

喜劇の人 森繁久彌

特集 喜劇の人 森繁久彌

戦後昭和を元気にした<社長シリーズ>と<駅前シリーズ>

映画俳優 三船敏郎

特集 映画俳優 三船敏郎

戦後映画最大のスター〝世界のミフネ〟

「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の流行歌 

昭和歌謡 「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の...

第一弾 天地真理、安達明、久保浩、美樹克彦、あべ静江

故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・木下惠介のこと

特集 故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・...

「つつましく生きる庶民の情感」を映像にした49作品

仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監督の信念

特集 仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監...

「人間の條件」「怪談」「切腹」等全22作の根幹とは

挑戦し続ける劇団四季

特集 挑戦し続ける劇団四季

時代を先取りする日本エンタテインメント界のトップランナー

御存知! 東映時代劇

特集 御存知! 東映時代劇

みんなが拍手を送った勧善懲悪劇 

寅さんがいる風景

特集 寅さんがいる風景

やっぱり庶民のヒーローが懐かしい

アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

特集 アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

60年以上にわたる創造の全貌

東京日本橋浜町 明治座

特集 東京日本橋浜町 明治座

江戸薫る 芝居小屋の風情を今に

「芸術座」という血統

特集 「芸術座」という血統

シアタークリエへ

「花椿」の贈り物

特集 「花椿」の贈り物

リッチにスマートに、そしてモダンに

俳優たちの聖地「帝国劇場」

特集 俳優たちの聖地「帝国劇場」

演劇史に残る数々の名作生んだ百年のロマン 文=山川静夫

秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

特集 秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

役柄と素顔のはざまで

秋山庄太郎ポートレートの美学

特集 秋山庄太郎ポートレートの美学

美しきをより美しく

久世光彦のテレビ

特集 久世光彦のテレビ

昭和の匂いを愛し、 テレビと遊んだ男

加山雄三80歳、未だ青春

特集 加山雄三80歳、未だ青春

4年前、初めて人生を激白した若大将

昭和は遠くなりにけり

特集 昭和は遠くなりにけり

北島寛の写真で蘇る団塊世代の子どもたち

西城秀樹 青春のアルバム

特集 西城秀樹 青春のアルバム

スタジアムが似合う男とともに過ごした時間

「舟木一夫」という青春

特集 「舟木一夫」という青春

「高校三年生」から 55年目の「大石内蔵助」へ

川喜多長政 &かしこ映画の青春

特集 川喜多長政 &かしこ映画の青春

国際的映画人のたたずまい

ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

特集 ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

監督と女優の二人三脚の映画人生

中原淳一的なる「美」の深遠

特集 中原淳一的なる「美」の深遠

昭和の少女たちを憧れさせた中原淳一の世界

向田邦子の散歩道

特集 向田邦子の散歩道

「昭和の姉」とすごした風景

あの人この人の、生前整理archives

あの人この人の、生前整理archives
読者の声
Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial
error: Content is protected !!