
1981年にフジテレビジョンに入社後、編成局映画部に配属され「ゴールデン洋画劇場」を担当することになった河井真也さん。そこから河井さんの映画人生が始まった。『南極物語』での製作デスクを皮切りに、『私をスキーに連れてって』『Love Letter』『スワロウテイル』『リング』『らせん』『愛のむきだし』など多くの作品にプロデューサーとして携わり、劇場「シネスイッチ」を立ち上げ、『ニュー・シネマ・パラダイス』という大ヒット作品も誕生させた。テレビ局社員として映画と格闘し、数々の〝夢〟と〝奇跡〟の瞬間も体験した河井さん。この、連載は映画と人生を共にしたテレビ局社員の汗と涙、愛と夢が詰まった感動の一大青春巨編である。
アニメ映画などの「聖地巡礼」が多くなり、海外からの観光客も足を運んでくれるようになってきた。
ぼくが関わった映画で最初に「ロケ地探訪」を感じたのは『Love Letter』(1995/岩井俊二監督)だ。ただ最初の台本では<函館>が舞台になっていた。国内の観光地人気投票をするといつも<札幌>や<京都>とともにランクインするのが<函館>だ。ぼくもこの25年くらい、毎年の「函館港イルミナシオン映画祭」のシナリオ大賞審査員として12月初旬に参加してきた。函館ロケの映画も何本かやってきた。コンパクトな街に、異国情緒もあり、幕末の歴史も感じられる街である。
『Love Letter』の韓国上映は日本公開から3~4年遅れてスタートしたが、『影武者』(1980/黒澤明監督)、『うなぎ』(1997/今村昌平監督)、『HANA-BI』(1997/北野武監督)のあとの公開で得をした気がする。長い間の日本文化(映画・ドラマ・歌など)輸入禁止が一部開放になり、ハイクォリティな? 映画の後で『Love Letter』の主演の中山美穂さんが韓国にはあまりいない日本女性の理想像のようになった。映画の中のセリフ「お元気ですか~」が大流行になった。そして中山美穂+小樽を観たいと韓国から何十万人の人がロケ地を訪れた。
今は消失してしまったが、ロケで使用した彼女の家には特に多くの人が訪れた。これは「聖地巡礼」なのか。札幌や函館の、いわゆる観光名所ではなく、その映画に登場するそのものに触れたい、画面と同化したい、という気持ちか。
クランクアップしたのに「東京に帰りたくない!」と小樽に何日か居座った中山美穂さんの眼差しも忘れられないが……。














