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【帯津良一・89歳のときめき健康法】ベストビーイングとは何か

人生百年時代――とはいえ、老いさらばえて100歳を迎えたくはない。
健康で生気みなぎるような日々を過ごせてこそ、ナイス・エイジングだ!
西洋医学だけでなく東洋医学、ホメオパシー、代替医療まで、
人間を丸ごととらえるホリスティック医学でガン治療を諦めない医師、
帯津良一の養生訓は、「こころの深奥に〝ときめき〟あれ」と説く。



 
連載20回

色気の大群にたじろぐ

文=帯津良一


 先日、名古屋市で開かれた「DIGNITY(尊厳)」と銘を打った団体の主催する国際カンファレンスに参加する機会に恵まれた。この団体は悪天候に紛争といった凋落著しい地球の自然治癒力を回復させるために、人間が持つ最高の尊厳機能を発揮させて生きる、いわばベストビーイング(Best Being)を発揮させて生きる人を一人でも多く世に送り出すことを目的としているのである。

 わたしの出番は韓国の有名な哲学者ノ・ジェス先生との特別対談で、題して、
 「命とは」~生と死の統合~ 
 である。私ががん治療の現場で30年来追い求めているホリスティック医学は、
 体(Body)・心(Mind)・命(Spirit)が一体となった人間まるごとをそっくりそのままとらえる医学であるから、命は最重要な概念である。

 

 さらに、この世だけを観ていたのではホリスティックにはならない。この世にありながら、あの世に期待と展望をもって生きてこそ、ホリスティックなのである。そして、このような生き方を
 〝生と死の統合〟
 と呼ぶことにしたのである。

 
 私の目の前で最初に生と死の統合を果たした人は太極拳の楊名時(ようめいじ)先生であるが、それ以来何人もの人々が統合を果たしたものである。さらに、彼等には優しさとえも言われぬダイナミズムを備えていることがわかったのである。優しさとえも言われぬダイナミズムを備えた人は内なる生命場のエネルギーが高いに違いない。このような人々が世の中に増えてくれば、凋落著しい地球の自然治癒力も回復してくることまちがいない。ということで、このカンファレンスの雰囲気が大好きになったのである。

 
 そこで、私のベストビーイングは
 死ぬその日まで立ち働くこと。
 死ぬその日まで晩酌を楽しむこと。
 死ぬその日までハグをすること。

 と、胸中を吐露したものである。そして、午後4時30分に予定通り、カンファレンスは閉会。閉会するや否や、私の前に、あっという間にハグを求める女性の行列が出来たのである。初めは5~6人。終わりかけると、また5~6人と何回かくり返し、総勢で40人ほどか。

 壇上に上った際、会場を一瞥して、参加者は120人、うち女性は80人と踏んだのであるから女性の2人に1人はハグしたことになる。年齢も容姿も力の強弱もいろいろだ。ただ、一人残らず色気たっぷりなのだ。圧倒された。そして思ったのである。ベストビーイングや生と死の統合を目指すだけで色気が溢れて来るらしいと。貴重な経験でした。

帯津先生の周りには、ハグを求める女性が列をなした。

 



おびつ りょういち
1936年埼玉県川越市生まれ。東京大学医学部卒業、医学博士。東京大学医学部第三外科に入局し、その後、都立駒込病院外科医長などを経て、1982年、埼玉県川越市に帯津三敬病院を設立。そして2004年には、池袋に統合医学の拠点、帯津三敬塾クリニックを開設現在に至る。日本ホリスティック医学協会名誉会長、日本ホメオパシー医学会理事長著書も「代替療法はなぜ効くのか?」「健康問答」「ホリスティック養生訓」など多数あり。その数は100冊を超える。現在も全国で講演活動を行っている。講演スケジュールなどは、https://www.obitsusankei.or.jp/をご覧ください。


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