20年以上にわたり続く、TVシリーズ。『科捜研の女』の主人公(沢口靖子=榊マリコ)や周りの出演者も変わらずに劇場版(つまり映画化)が9月3日(金)に公開される。これまでTVシリーズを欠かさず観てきたファンにとっては劇場の大型スクリーンで観ることができるのは魅力的であることは間違いない。脚本を手掛けた櫻井武晴は、「長くTVを観ていただいた方々のためのお祭り映画」と綴っている。これまで東映はTVドラマシリーズの『相棒』も映画化して期待以上の出来で成功を収めている。まして20年以上にわたって機をうかがってきた『科捜研の女』をお祭り映画として位置付けた以上、ファンを落胆させることはないとだろうと、試写会場に向かった。
とはいうものの、筆者はTVシリーズを欠かさず観てきたわけでもなく、時々マリコさんのニコリともしない真剣な捜査にあたる姿勢が、真剣であればあるほどもうちょっと力を抜いたら…と声をかけたくなって苦笑してきた、ほぼほぼファン。しかし、その科学的裏付け捜査に手抜かりはなく、毎度「ここまでやるのか! マリコさんは絶対に(犯人捜し)あきらめない」という確信に、我ながら〝隠れマリコ〟ファンなのかもしれないと自認せざるを得ないのである。
さてスクリーンのマリコさんは、やはりというべきか、怜悧な頭脳とカリスマ性をもつ微生物学者(佐々木蔵之介)が立ちはだかり、この〝マリコさん史上最強の敵〟と戦うことになるのだ。当初自殺と見られた遺体を検体した解剖医(若村麻由美)の疑問から端を発した不審死事件。いわずもがなマリコさんの猪突猛進&一心不乱の科学捜査は、周囲の科捜研同僚はもとより実父(小野武彦)から元夫(渡辺いっけい)、カナダに赴任中の研究員(長田成哉)まで総動員させ、長いベストパートナーの京都府警捜査一課・土門薫(内藤剛志)をもハラハラドキドキさせて事件解決に向かうのだった。この世界同時に多発する不審死事件、佐々木蔵之介扮する微生物学者が世に送り出そうとする通称・ダイエット菌の不気味な研究と同学者の完璧なアリバイ、数々の難問疑問と京都の季節の彩りが相まって瞬時も目が離せない〝科捜研〟の捜査状況、これまでのTVシリーズの集大成である最高の『科捜研の女』が誕生した。これはTVシリーズのファンならずとも、見逃がせない科学ミステリー・エンターテインメントである。
『科捜研の女 -劇場版-』
9月3日(金)全国ロードショー
■出演:沢口靖子、内藤剛志、佐々木蔵之介、若村麻由美、風間トオル、
金田明夫、斉藤暁、佐津川愛美、渡部秀、山本ひかる、石井一彰
■脚本:櫻井武晴 音楽:川井憲次
■監督:兼﨑涼介
■配給:東映