25.03.14 update

室町時代から受け継ぐ、小田原鋳物のブランドを高める 

寄木細工など工芸品同士のコラボで新たなニーズを生み出す

 
 柏木美術鋳物研究所として、会社組織にしたのは1952年(昭和27)でした。私は大学生の頃からアルバイトで手伝うようになり、27歳の時社長に就任しました。大きな産地なら、型を作る人、色付けをする人と分業しますが、型の制作、型への鋳込み、加工、着色、仕上げ、という一連の作業をやっています。少しでも手を抜いてしまうと、形はよくても最終的に音が鳴らないといった致命的な欠点に繋がります。溶けている金属の表面の頃合いを見ながら温度を判断し、流し込みをしていきます。「砂張」は硬そうですが、脆いので大切に扱わないと加工中でも割れてしまうことがあります。これこそ職人技になりますが、工房に若い社員も入り育てているところです。

 
「風鈴」や「鈴」など当社の商品も、時代時代にあったものを提供していかなければなりません。デザインや機能性を高めることも必要です。

 古くから「鈴」は、魔を祓う祭具として用いられたもので、江戸時代後期には全国各地で作られお土産や玩具としても人気がありました。当社でも「猫鈴」「小槌鈴」「ワニ鈴」「マサカリ鈴」「虎の印鈴」など様々な形をした鈴が人気です。以前から風鈴の短冊を作っていた会社とのコラボで新たな商品をつくり出したり、箱根寄木細工の露木木工所さんとのコラボでは、風鈴の短冊に寄木細工を使用し、工房独自の配合による真鍮で製造しました。こちらもよく響く風鈴だと評判です。

 コロナ禍は、ピンチの時期でしたが、新たな商品開発を手がけました。たとえば、風鈴を掛けるスタンドも鋳物で制作しセットで販売したところ、小田原市のコンクールの景品として使われるなど、贈り物や記念品にも喜ばれています。 

 「鳴物」の良さをネットでは実際に音を聞くことができないのでコロナ禍以前は消極的でした。ところが、食物にしても味見をしないでネットで売れるわけですから、ネット販売で販路を拡げたところ思わぬ需要があり助けられました。少々値の張る商品も、箱根の高級ホテルではインバウンドのお客様が買っていって下さるのもありがたい。考えれば空港や観光地などまだまだ需要は掘り起こせるに違いありません。これからも代々受け継がれてきた柏木家の小田原鋳物の伝統を絶やすことなく守り拡げていきたいと思っています。

▲一連の作業を経て、デザイン化された商品が、工房に隣接する「砂張ギャラリー鳴物館」やネットで販売されている。ひらがなで「まよけ」と入った猫の形をした「猫鈴」が人気だ。工房独自の配合で、鳴物用真鍮を使用した「松虫風鈴」「鈴虫風鈴」は涼やかな虫の鳴き声を感じる風鈴だ。形状が特徴的な「吊鐘風鈴」「小田原提灯風鈴」などもある。写真中央は、小田原伝統工芸の寄木細工とコラボした「御殿風鈴」。それぞれの風鈴は好みの短冊に替えることもできる。海外からの観光客にも喜ばれている。




柏木 照之(かしわぎ てるゆき)
1978年神奈川県小田原市生まれ。中央大学理工学部を卒業し、株式会社柏木美術鋳物研究所入社。2005年社長就任。「砂張ギャラリー鳴物館」では、工房で作られた鳴物を実際に聞くことができる。


株式会社 柏木美術鋳物研究所
住所 小田原市中町3-2-1
問い合わせ 0465-22-4328
開館:9:00~17:00
定休日:第2・4・5土曜、日曜・祝日




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