プロマイドで綴る
わが心の昭和アイドル&スター
大スター、名俳優ということで語られることがない人たちかもしれないが、
青春の日々に密かに胸をこがし、心をときめかせた私だけのアイドルやスターたちがいる。
今でも当時の映画を観たり、歌声を聴くと、憧れの俳優や歌手たちの面影が浮かび、懐かしい青春の日々がよみがえる。
プロマイドの中で永遠に輝き続ける昭和の〝わが青春のアイドル〟たちよ、今ひとたび。
企画協力・写真提供:マルベル堂
初めてテレビに映った鰐淵晴子を見た当時小学生の僕は、なんてきれいな人なんだろうと、一目ぼれしてしまった。父や母にこの人誰? と質問ぜめにし、母親はオーストリア人で、父親はNHK交響楽団のコンサートマスターも務めたヴァイオリニストの鰐淵賢舟で、彼女自身3歳からヴァイオリンの英才教育を受けて8歳でヴァイオリニストとしてステージにも立ち、〝天才少女ヴァイオリニスト〟と騒がれたことを知った。僕が観たのは1964年にTBS系の月曜8時に放送されていた連続ドラマ「さぼてん」に出演していた鰐淵晴子だった。森繁久彌、森光子、竹脇無我らと共演していた。
TBSの月曜8時台と言えば、「水戸黄門」「大岡越前」「江戸を斬る」といった娯楽時代劇枠として定着したが、それ以前は現代劇のホームドラマや、青春ドラマが放送されていた。一番のヒット作は森繫久彌主演の「七人の孫」だろう。吉永小百合、八千草薫、石坂浩二らが出演した「娘たちはいま」、栗原小巻と黒沢年男(現・年雄)共演の「オレと彼女」も懐かしい。現代劇ではないが、中村錦之助(後に萬屋錦之介)、浅丘ルリ子、十七代目中村勘三郎らオールスターキャストの民放版大河ドラマとも言われた「真田幸村」もあった。閑話休題、鰐淵晴子はこのドラマ枠で「さぼてん」以降も、「光る海」「ともだち」と、この枠のヒロインとして出演していた。
僕の記憶にひときわ残るドラマは日本テレビ系で65年から66年に放送されていた「風と樹と空と」だ。石坂洋次郎の小説のドラマ化で、鰐淵は東北出身で上京してお手伝いさんになる娘を演じていた。石坂作品らしい、明るく爽やかな青春ホームドラマだった。鰐淵晴子の容貌とお手伝いさんというイメージが結びつかなかったが、毎回楽しく見ていた。主題歌も歌っており、今でも口ずさむことができる。当時の「TVガイド」では「人気ドラマお手伝いさん対談」といった趣の企画で、やはり人気があったドラマ「七人の孫」でのお手伝いさん役の悠木千帆(後に樹木希林)と鰐淵との対談が掲載されていた。やはり人気があったのだろう。67年には「続 風と樹と空と」も製作された。ちなみに映画版では吉永小百合が演じていた。80年代、日本テレビの深夜枠で再放送されていて、その時も毎回観ていた。深夜でかまわないので、昔のドラマを再放送してくれないかしら、と願っている。