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ロッセリー二監督の『ドイツ零年』とゴダール監督の『新ドイツ零年』が全国順次公開される[2つの零年]

 第二次世界大戦後の廃墟と化したベルリンを舞台に、ひとりの少年を通して戦争がもたらす残酷さを描いたイタリアの巨匠、ロベルト・ロッセリー二(1906~1977)の『ドイツ零年』(1948)と、ベルリンの壁崩壊後の翌1990年、東ドイツに潜伏していた老スパイの帰還の旅を描いたジャン=リュック・ゴダール監督(1930~2022)の『新ドイツ零年』(1991)の2作品が、12月20日(土)から、シアター・イメージフォーラム他全国順次公開される。

 1947年の夏にドイツの市街で撮影された『ドイツ零年』は、『無防備都市』(45)、『戦火のかなた』(46)とともに《戦争三部作》と呼ばれ、ほぼオール・ロケ、素人俳優の起用といったネオレアリズモの手法を駆使し、戦争の悲惨さをロッセリーニ独特のドキュメンタリー・タッチで描いている。当時のベルリンの映像が、圧倒的な迫力で観る者に迫ってくる。

 いっぽう、東西ドイツが統合された1990年を《新ゼロ年》としてゴダールが作り上げたのが、現在公開中の遺作『シナリオ』にも引用されている『新ドイツ零年』だ。冷戦期に東ベルリンに潜伏していた老スパイの“西への帰還の旅”を、主にドイツに関連した哲学や文学、音楽、映画などを膨大に引用しながら描いている。前年にベルリンの壁が崩壊した1990年のドイツ。西側のスパイとして東ベルリンに30年間潜伏していた諜報員レミー・コーションのもとへ、軍情報部のゼルテン伯爵がやってくる。「すべて終わった」と告げられたレミーは、ゼルテンに勧められるがまま、西側への帰還を目指して東ドイツを大きく迂回する旅に出る……。
  主人公のレミー・コーションを演じるのは、50年代に“FBI捜査官レミー・コーション”を演じたシリーズで一躍フランスのスターとなったエディ・コンスタンティーヌ。ゴダールのSF映画『アルファヴィル』(65)でも同名の探偵役で主演し、一躍カルト的存在となった。

 ロベルト・ロッセリー二監督は、ゴダールやフランソワ・トリュフォーをはじめ、ヌーベル・ヴァーグの監督たちに多大な影響を与えた人物である。2人の巨匠が描いた[2つのゼロ年]が、2025年に蘇る。



特集 ロッセリーニ×ゴダール[2つのゼロ年]
12月20日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
配給:サジフィルムズ

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