デビュー日は
緊急事態宣言発出の翌日
――デビューは2020年4月8日でしたね。
ナルト そうなんです。今年の1月にデビュー日が4月8日ということに決まりました。まず、演歌歌手としてデビューする予定で、弟子入りをさせていただきレッスンをしてくださっている作曲家の宮下健治先生が演歌の曲を書いてくださって、その曲でデビューする予定でした。でも、2020年はオリンピックイヤーということで、そして、黒木ナルトはブラジル人なので、最初はブラジルらしいラテン系の明るさや元気な部分を知っていただくほうがいいのではないかということで、レコーディングの直前に変更になりサンバのリズムの曲「太陽のスマイル~ナルトの燦々サンバ~」がデビュー曲に決まりました。カップリング曲は、今の僕の心境を歌にしたような演歌「演歌の星」です。
――4月8日というと、緊急事態宣言が発出された翌日です。かなり大変なデビューになったのではないですか。デビュー日を再検討するということはなかったのですか。
ナルト デビュー日を変更するということはかなり難しい状況でした。でも、今にして思えば4月8日にデビューできて良かったと思っているんです。もし、もう少し新型コロナウイルス問題の状況をみながら、6月、7月くらいのデビューになっていたら、いまだに先の見えない状況ですから、デビューできなかったかもしれません。
――でも、デビューといえばいろいろなキャンペーン活動が予定されていたと思いますが、活動できなかったのではないですか。
ナルト 予定されていた活動はすべて中止になりました。歌うチャンスがなくなってしまい、とにかくお客様の前で歌うことができない、デビュー曲を聴いていただくチャンスがないというのが一番つらかったです。ブラジルで応援してくれている家族や友人たちにも歌う姿を見せられないので、本当に苦しかったです。キャンペーンで日本全国をまわり、たくさんの人たちの前で歌うことが、デビューの一番の楽しみでした。本当にどうしたらいいのか、羽をもぎとられた鳥のような状態でした。4月は毎日キャンペーンが入っていましたし、デビュー日の8日は、名古屋と大阪でラジオに出演し、その後キャンペーンも組まれていましたが、もちろん中止になりました。予定されていたテレビ番組への出演もキャンセルになって、すごく悲しかったですね。
できることはSNSを通じて
僕のことを知ってもらうこと
――活動の自粛を強いられている間は、どのように過ごしていたのですか。
ナルト 嘆いてばかりもいられないので、事務所の人たちとも相談しながら、とにかく今できることをやるしかないということで、僕のことを知っていただくためにSNSでがんばろうということになり、ブログを毎日書いたりしていました。オフィシャルブログは「太陽のスマイル」です。
――ライブを生配信しようということは考えなかったのでしょうか。
ナルト もちろん、そういう考えもありましたが、結局、生配信ライブはその頃はまだ実施しませんでした。デビューしたばかりの歌手・黒木ナルトを知っていただく、そしてお客様にどんな印象を持っていただけるかという大事な初お目見えで何がベストなのかということもいろいろと考えていましたし、その時点では生配信ライブをお届けするのが最善の策とは思えなかったんですね。僕のことをきちんとお伝えできないような気がしていたんです。