「昭和的で何が悪い!」と迫ってくる町屋
都電荒川線の踏切を目の前に、お洒落なフラワーショップの半円形のガラスのシューウインドーに、整然と蘭の花が並んでいるのが目に飛び込んできた。町屋のいわば一等地で花屋さんを営んで、代々80年を超えるという。喫茶「ハナモト」は尾竹橋通りに面していて大きな窓が明るい喫茶店だ。コーヒーサイフォンが並び、客は地元の常連さんだろうか、女性店長と話がはずんでいたが、フラワーショップの店長さんとは姉妹だという。聞けば、北野武や顔なじみのたけし軍団のタレントさんたちもたむろしていた時期もあったとか。地元に行きつけの喫茶店があって、たわいもない話をできるのは羨ましいものだ。

左:フラワーショップ・ハナモト、右:コーヒー・ハナモト(喫茶店)
極めつけは、京成駅前の居酒屋「でこ助」。入り口のガラスには「昭和的で何が悪い!」という手書きのチラシ貼られている。「家へ帰ったら何もないぞ!! 中ジョッキ290円」ともあるではないか。知らない居酒屋に入るのは勇気がいるが、このメッセージに引き寄せられガラス扉を引くと、年輩の男性が、「どうぞどうぞ」と席を勧めてくれた。メニューも手書きだ。まさに懐かしい昭和の雰囲気。「気合が入ったら開店。気合が抜けたら閉店」が営業時間である。入店をすすめてくれたのは、このお店の店長(オーナー)で今は息子さんに料理を任せ、カウンターで常連さんと会話を楽しむ。「このお店がなくなったら、困っちゃう」という年輩の女性。ジョッキのビールを美味しそうに呷っていた。
荒川区には、ウォーキングコースがいくつかあり、町屋から西日暮里駅の千代田線コースは約2キロ、都電とバラの花ルートは、荒川区役所~八幡神社~あらかわ遊園の往復は約8キロなど、しっかり歩きたい人向けのコースや、お手軽コースなどもある。こんなに暑くなければもっと歩けたのにと悔やまれたが、京成線町屋駅近くを歩くだけでも、下町情緒に浸れる新たな発見があった。

[住所]荒川区荒川7-22-5
[営業]15:00 – 21:00(気合が入ったら開店。気合が抜けたら閉店)火曜~日曜
[定休日] 月曜日









