new 20.08.27 update

“NO STAGE,NO LIFE ”劇場のある豊かな暮し

新型コロナウイルス蔓延問題は、芸術や文化にも大きな影を落としている。劇場、映画館、コンサートホール、ライブハウス、美術館、寄席、そして劇団やさまざまなアーティストたちは活動休止を余儀なくされた。街から劇場や映画館が消えるのではないかと危惧する声も聞こえてくる。6月1日にはロードマップがステップ2に移行し、入場制限や座席間隔の留意を前提に劇場や映画館の再開が可能になったとは言え、感染症対策により、観客は満席時の半数程度である。50パーセントの入場率では「興行として成立しない」と、演劇関係者たちも頭を抱える。芸術、文化発信の最前線にいる人々が、どのように模索し、苦境を脱しようとしているのか、現場の声に耳を傾けてみる。

Vol.4
佐藤玄さん

(株式会社パルコ エンタテインメント事業部 演劇事業担当 部長)

株式会社パルコのエンタテインメント事業部で、演劇事業の部長として総括責任者を務める佐藤玄さん。9~10月に上演される『ゲルニカ』『獣道一直線!!!』のプロデューサーも務めている。

1973年、西武劇場として開場したPARCO劇場。渋谷PARCOの建て替えにより、2016年8月7日に一旦休館となったが、それまでの43年間の上演作品は約1200作にもおよぶ。そして2020年、PARCO劇場「第二幕」ともいえる新たなシーズンが開幕した。1月24日に『志の輔らくご~PARCO劇場こけら落とし~』で無事こけら落としを迎え、来年4月まで続くオープニング・シリーズの第1作となる渡辺謙主演の『ピサロ』の初日を3月13日に控えていた頃、新型コロナウイルス蔓延の不吉な気配は演劇界にも影を落とし始めていた。2月26日、安倍晋三首相によりイベント自粛要請も発出されるなか、日々変わる状況により、その都度対応に追われることになったPARCO劇場。株式会社パルコエンタテインメント事業部で演劇事業の総括を担当する佐藤玄さんに、休館までの日々、再開の準備、そして9月、10月公演を迎えるに当たっての心境をうかがった。

新生・PARCO劇場オープニング・シリーズ製作発表に集まった、(前列左から)藤井隆、渡辺謙、宮沢氷魚、森新太郎、石田明、三谷幸喜、吉田一輔、大泉洋、山本耕史、竜星涼、長田育恵(後列左から)宮藤官九郎、河原雅彦、生瀬勝久、池田成志、古田新太、前川知大、杉原邦生、市川猿之助、天海祐希、G2 撮影:阿部章仁

――まず、佐藤さんのお仕事について教えてください。


佐藤 私が従事する演劇事業には、PARCO劇場の運営と、チケットの配券、営業、広報、それに企画・制作の3チームあります。そのまとめ役が私の仕事です。PARCO劇場は制作者が企画し、俳優や演出家、スタッフを集めて上演するプロデュース公演を実施していますが、演劇プロデューサーの仕事についてもお話しておきますと、まず劇場をどこにするのかを決めます。うちの場合は劇場を持っていますので、PARCO劇場での公演ということが前提になりますが、どんな芝居をやるのか企画を立て、この企画であればこの作家さん、この演出家さんにお願いしようという具合に進めていきます。先に演出家や作家の方たちと話をして、どういうものをやるかを決めるというケースもあります。企画を立てて、スタッフを集めて、キャスティングをして、実際チケットをどのように売っていくか、チラシ、ポスターなど、どのように宣伝していくのか、さらに、東京での公演を地方にも紹介する場合は、地方の主催者である放送局だったりイベンターさんと話を進めていきます。公演運営者として、最初から最後まで全体を見渡すのがプロデューサーの仕事ですが、うちは民間ですのでパルコとしての情報発信の意味合いもその中に含まれてきて、そこで収益を得ていくというお金の責任者でもあります。

1973年に西武劇場として開場したPARCO劇場の大きな特徴は、文化事業として劇場が自らプロデユースを行っていること。渋谷PARCOの建て替えのため2016年8月7日に一旦休館となったが本年PARCO劇場「第二幕」ともいうべき新たなシーズンがスタートした。9月以降も劇場ゆかりのクリエイターたちによるすばらしい公演が予定されている。撮影:尾嶝太

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