22.08.26 update

大人も子供も力をあわせ、良く働いた「昭和」の時代の温もり

昭和のくらし博物館

昭和26年(1951)に父・小泉孝さんが建てた家を修復し、平成11年(1999)より公開している。乎成14年(2002)、国の登録有形文化財に指定を受けた。明治43年生まれの母スズさんは、この家で5人の子供を生み2人亡くし、姑、小姑、夫を見送り、91歳まで生きた。着物を丁寧に解いて洗濯をし、洗い張りをしてから着物に縫い直したり、半纏や布団に仕立て何度も無駄なく使った。洗濯は洗濯板を使い、絞るのは力が必要なので木に縛り付けたという。ごはんを水につけて布袋でもみだした糊をすすぎの後につけ、竿に干すという重労働だ。至るところに生活の知恵が見られ、家族みんなが寄り添い助け合い、慎ましくも温かい昭和の家族そのものの暮らしに懐かしく心温まる思いがする。


〔住〕大田区南久が原2-26-19 〔間) 03-3750-1808


台東区立下町風俗資料館

古き良き下町の文化を次世代に伝えるため、昭和55年(1980)10月1日、上野不忍池畔に開館した。ここにある資料はすべて寄贈によるものだ。1階は下町の街並みを再現しており、鼻緒の商店、駄菓子屋や銅壷屋の一家がある。洗い張りに使う板が立てかけられ、オムツを干した軒先、井戸端は長屋のおかみさんたちの社交場、小唄も聞こえてくる。庶民の生活が匂うように伝わってくる。階段をのぼると「竹やぁ一、さおだけぇ~」「なっと、なっとぉー、なっとぉ」と物売りの声。今の小学生には銭湯など珍しい代物だろう、番台に座る女の子が嬉しそうだ。けん玉や独楽、当時のカフェを再現した空間で遊ぶ子どもたちには笑顔があふれていた。


〔住〕台東区上野公園2-1 〔間〕03-3823-7451


昭和館

九段下の交差点に立つ昭和館は、戦中・戦後(昭和10年~30年頃)の国民の労苦を伝える資料館だ。常設展示室には、忘れてはいけない戦争の多くの資料が展示されている。昭和10年頃の家庭、戦中の学童・生徒の様子、統制下の暮らし、召集令状や千人針、戦地とのやりとりの書簡など当時の人々の想いが胸を打つ。昭和を代表する出版物の表紙や企業広告も展示されている。自分の誕生日に発行された新聞が手に入る自動阪売機には驚かされる。


〔住〕千代田区九段南1-6-1 〔間〕03-3222-2527


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