「現場にいたい」という言葉に我が意を得たり
今後、女優としてどのようにありたいですかと、愚問を投げかけたが、間髪入れず答えが返ってきた。
「女優という仕事には、これでいいということがありません。だから、いくつになっても成長し続ける可能性がある職業だと思っているんです。その成長する過程で求めるものも違ってきます。だから、その時、その時の自分に一番ふさわしいもので、同年代の人々に少しでも刺激を与えられるような作品を作っていきたいですね。女優として、ずっと制作の現場に居続けたいんです」との女優の答えは我が意を得たり。このとき、僕の中に同志のような感情が芽生えた。「サンデー毎日」で編集長にはなったが、僕はずっと現場畑だった。常々〝分別臭くない〞が大事だと思っている。わけもわからず、好奇心で動き回り何かを求める現場にいたい、という気持ちに十朱さんとの共通点があったのだ。
十朱さんと僕とはほぼ同年代である。数字的に言えば、女優である十朱さんには甚だ失礼ながらお互いじいさん、ばあさんなのかもしれない。だが、僕たちは、そうは思っていない。それは、現場にいるからなのだ。
新聞、雑誌、テレビといろんなメディアに関ってきたが、総合芸術としての映画に、やはりいつかは携わってみたいという思いが正直ある。プロデューサーなのか監督なのか、それはわからないが。
そして、女優・十朱幸代さんに我が映画にぜひともご登場いただきたいと願うのである。