面と向かって話しをするのは、今回が初めてだという十朱幸代さんと鳥越俊太郎さんは、鳥越さんがちょっと年上のほぼ同年代。ガンの手術をした鳥越さんを気遣う十朱さんが、病知らずで寝込んだことがないと聞き、鳥越さんはびっくり。そして、話題は映画のことに。子ども時代の映画が娯楽の原点だという鳥越さんが夢中になったのは、嵐寛寿郎の『鞍馬天狗』や三益愛子の「母もの」だった。勝新太郎、萬屋錦之介、長谷川一夫ら、錚々たる俳優たちと共演したなかで、強烈な印象として残るのは石原裕次郎だったと、当時を振り返る十朱さん。十朱さんの想像以上の若さに驚いたという鳥越さん。見た目はもちろん、気持ちや考え方が若い、若い雰囲気に包まれたひとときだった、と。
撮影:平岩亨 撮影協力:コンラッド東京
とあけ ゆきよ
女優。東京日本橋生まれ。1958年にNHKテレビドラマ「バス通り裏」に出演し一躍お茶の間の人気者になる。その後、テレビ、映画、舞台と数多くの作品に出演し現在も第一線で活躍中。75年1月には芸術座の最年少座長を務め、以降20回にわたり芸術座正月公演の座長を務めている。映画『惜春鳥』『光る海』『関の弥太っぺ』『敗れざるもの』『四つの恋の物語』『青春とはなんだ』『育ちざかり』『陽のあたる坂道』『男はつらいよ 寅次郎子守唄』『震える舌』(ブルーリボン賞主演女優賞)『魚影の群れ』『花いちもんめ』(ブルーリボン賞主演女優賞)『櫂』『極道の妻たちⅡ』『夜汽車』『蛍川』(以上3作で毎日映画コンクール主演女優賞)『ハラスのいた日々』『社葬』(以上2作で日刊スポーツ映画大賞主演女優賞)『女帝 春日局』、最近のテレビでは「駅路」「カーネーション」「尋ね人」「ゆりちかへ ママからの伝言」、舞台『おせん』『おしの』『おたふく物語』『雪国』『一葉の恋』『櫂』『隅田川暮色』『隠れ菊』『悪女について』『プワゾンの匂う女』『華岡青洲の妻』『新版 香華』『残菊物語』『キャサリン・ヘプバーン~五時のお茶~』など多数の出演作がある。89年に田中絹代賞、02 年に菊田一夫演劇大賞、05年に松尾芸能賞大賞受賞、03年には紫綬褒章を受章している。
とりごえ しゅんたろう
ジャーナリスト。1940年福岡県生まれ。65年京都大学文学部国史学専攻卒、同年毎日新聞社入社。新潟支局、大阪社会部、東京社会部、「サンデー毎日」編集部、テヘラン特派員を経て88年には「サンデー毎日」編集長を務める。89 年8月に毎日新聞社を退社し、同年10 月、テレビ朝日系列でスタートした報道ドキュメンタリー番組「ザ・スクープ」の司会に就任、レギュラー放送終了後も単発で同番組の司会を務めている。01年日本記者クラブ賞(桶川女子大生ストーカー殺人事件報道に対し)、04年ギャラクシー賞報道活動部門大賞(ザ・スクープスペシャル「警察の裏金追及第一弾、第二弾」に対して)受賞。『桶川女子大生ストーカー殺人事件』『ニュースの職人「真実」をどう伝えるか』『人間力の磨き方』『鳥越俊太郎のエンディングノート 葬送曲はショパンでよろしく』『がん患者』など多数の著書がある。