「虎ノ門ヒルズ」の4つの超高層ビルは、「ステーションタワー」を貫通するような形で幹線道路の上に幅員20メートルの大規模デッキが誕生する。通称「T-デッキ」は東西のメインストリートとしての役割も果たし、各施設はバリアフリーで接続される。環状二号線が2022年12月に全面開通し、虎ノ門ヒルズ駅の地下には、高速バスの発着するバスターミナルも整備され羽田空港へのアクセスは飛躍的に便利になった。
森ビルがここまで都市の開発にこだわるのは「東京を国際都市間の競争で勝つ街にすること」を課しているからだ。これは30年も前から、故・森稔氏(会長)が言い続けたことであるが、「ヒト、モノ、カネ」の集まる磁力のある街でなければ、国際間競争に勝てない。東京が磁力を失えば、日本が衰退してしまうという危機感だ。森氏が人生をかけてつくりあげた「六本木ヒルズ」は、20年を経過しても色褪せず、ますます多くの人々を惹きつける魅力を持った街に進化し続けている。コロナ禍から一時解放された昨年12月の六本木ヒルズへの人流は、過去最高だったという。
「世界の都市総合ランキング」という統計がある。森ビルのシンクタンクが毎年発表している世界の主要48都市を経済、文化・交流、移住、環境、交通・アクセスの6分野・70指標で評価し順位づけしたものである。それによると、2022年の統計ではロンドン、ニューヨークに次いで東京は3位に入っている。パリが僅差で4位。2024年のオリンピック後は、パリの位置があがってくることは予想される。ちなみに5位シンガポール、6位アムズテルダム、7位ソウル、8位ベルリン、9位メルボルン、10位上海といったところ。
都市総合ランキングが示すように、街の評価はハード面だけではない。人々の心を豊かにするソフト面が欠かせない。六本木ヒルズに「森美術館」があるように文化がなければ人は集まらない。アートは人々の心に潤いと豊かさをもたらす。「虎ノ門ヒルズ」の4つの施設には世界の著名な作家によるパブリックアートがエントランスや車寄せ、広場に設置されるとともに、人々の心を潤す緑地空間もたっぷり設けられる。都会の真ん中でバードウォッチングができ、ヨガなどを楽しむことができるイベントも開催されるという。
まだまだ細部を言い尽くせないが、「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」の開業は、2023年秋。ビジネス、文化が融合した新しい街「虎ノ門ヒルズ」への期待は高まるばかりだ。