もともと「働き方改革」が叫ばれていたが、2020年からのコロナ禍を経て、いよいよ働き方は多様化。テレワークが普及し、出社制限がされ、ZOOMなどオンラインを主体としたコミュニケーションが業務の一部となり、オフィスの縮小、不要論も出てきた。一方でオフィスを供給する側にとってもオフィスの役割の再定義が求められる時代になった。コミュニケーション不足や、ビジネスとプライベートの境界があいまいになって、かえって長時間労働を招いたり、管理者にとっても勤怠管理がしにくくなったりする状況もあった。そこで、これを機に森トラストは、ABW(Activity Based Working)の概念の下に、働くものがオフィスに求める要素を3つに整理し、「人を結び、未来をつくる DESTINATION OFFICE」をコンセプトとして実現を目指したのである。
その3つの要素をちりばめたものとして、〝ホテル事業〟を象徴するホテルのロビーそのままの本社ロビーを具現化し、事業イメージを映像モニターで見せ、来客にとっても快適に過ごすことができる待合ロビーが誕生。また社員同士交流を深めるラウンジスペースが設けられている。アンティークの家具や植物が取り入れられたデザイン性の高い空間で、社員同士の一体感が培われ、自身の仕事のみならず、会社全体の動きがわかるような工夫がなされている。また、今後は同じ空間でスポーツ観戦を楽しむようなイベントも予定されているとか。
移転前は5層のフロワーに部署が分かれていたが、柱のない約1,000坪の空間にカベを立てないことで、柔軟で迅速なレイアウトの変更を可能にしている。単なるフリーアドレスデスクではなく、社員同士のコミュニケーションがより活発になるようなオフィス設計だ。さらに、チームとの一体感を持つために、ベースとなる部署専用席を配置し、席数が変更可能な連結デスクになっている。室内には、たくさんの観葉植物が置かれ、執務にサーカディアン照明が取り入れられて、執務時間中でも自然な形で、日中は白色の光、夕方にかけては温白色、20時以降は徐々に照度が下げられていくなど、仕事への集中力を向上させるよう施されている。静かにBGMが流れているが、現在は社員のアンケートにより、ジャズミュージックによるカフェ風の演出がされている。こんなオフィスならテレワークよりよほど仕事がクリエイティブになり集中力が高まるだろう。オフィス供給会社が具現化してくれた進化した働きの場だった。
東京ワールドゲートは緑に囲まれている。その名も葺城(ふきしろ)の森は、都会の真ん中にいることを忘れるようなせせらぎと鳥の声に包まれる「水辺テラス」や、移植された樹齢100年を超えるクスノキの巨木が敷地の高台に鎮座して、来街者を迎えてくれる。