23.02.09 update

国立西洋美術館「憧憬の地 ブルターニュ ─モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷」

 フランス北西部、大西洋に突き出た半島を核とするブルターニュ地方は、豊かな自然と各地に残された古代の巨石遺構、「ブルトン語」を話す素朴で信心深い人々の生活様式など、多くの画家たちにとって「異郷」とされ、愛された地である。19世紀初めのロマン主義時代には、ウィリアム・ターナーやウジェーヌ・ブーダン、クロード・モネなどにより、多くの風景画が描かれた。

 19世紀中頃になると、アメリカやイギリス、北欧の画家たちの居住地になった。ブルターニュ地方南西部の小さな村、ポン=タヴェンは、古い建造物や民族衣装を着た人々といった画題のテーマに富み、さらに滞在費やモデル代の安さも手伝い、多くの画家を魅了した。特にポール・ゴーガンはこの地を好み、画家仲間と交流しながら共同制作をし、多くの作品を残した。本展ではゴーガンが度重なる滞在で描いた12点(絵画10点、版画2点)と併せて、エミール・ベルナールや、ポール・セリュジェらポン=タヴェン派の作品も展示される。

ポール・ゴーガン 《ブルターニュの農婦たち》 1894年 油彩/カンヴァス オルセー美術館(パリ)ⒸRMN-Grand Palais (musée d’Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

 日本の明治後半から大正期にかけて、パリに留学していた日本人画家もブルターニュに足を延ばし、風景や風俗を画題に作品を制作していた。黒田清輝や久米桂一郎を筆頭に、山本鼎や藤田嗣治、岡鹿之助など彼らが憧れ、描いたブルターニュの作品も出展される。

黒田清輝 《ブレハの少女》  1891年 油彩/カンヴァス 80.6 x 54.0 cm 石橋財団アーティゾン美術館
*展示は4月6日(木)から

展覧会名:「憧憬の地 ブルターニュ ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷」
会期 :2023 年3 月18 日(土)~ 6 月11 日(日)
開館時間 :午前9 時30 分~午後5 時30 分(毎週金・土曜日は午後8 時まで)
※入館は閉館の30 分前まで
※5 月1 日(月)、2 日(火)、3 日(水・祝)、4 日 (木・祝)は午後8 時まで開館
休館日 :月曜日 ※3 月27 日(月)、5 月1 日(月)を除く
会場:国立西洋美術館(東京・上野公園)
展覧会公式サイト: https://bretagne2023.jp
観覧料金(:税込) 一般2,100 円 、大学生 1,500 円、 高校生1,100 円 、中学生以下無料

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