鎌倉市川喜多映画記念館では、7月1日より、企画展「シネマ紀行 日本の風景」が開催されている。
松本清張の同名小説を映画化した作品『ゼロの焦点』(1961)は、テレビドラマにもなり、何度も再演されているが、特に「能登金剛・ヤセの断崖」のシーンは追い詰められた犯人の心情を表す重要な場所だ。高さ35メートルの崖から一望する日本海は一見の価値があり、観光スポットにもなっている。また、巨匠・内田吐夢による『飢餓海峡』(1965)では、時代に翻弄された人々の姿が、青函連絡船や津軽海峡の風景と共に印象的に映し出されていた。山田洋次監督による『家族』(1970)は、長崎を出て北海道に移住することを決意する家族の姿を日本列島横断ロケによって完成させた意欲作で、高度成長期の日本の姿がよくわかる。
このように当時の文化や人々の暮らし、各地の風景は映像と共に蘇ってくるが、なかには、もう見ることのできない日本の姿もあるだろう。本展は映画だからこそできる、時と場所を越えた自由な旅を楽しもうという企画展である。
開催期間中には、『無法松の一生』『有りがたうさん』『古都』『夫婦善哉』『集金旅行』『家族』『ゼロの焦点』『点と線』『銀座カンカン娘』『飢餓海峡』の10作品が上映される。
また、『ゼロの焦点』の特別上映と大平原 寛氏(編集者)による、トークイベント「地図で辿る清張映画の焦点」が9月9日に予定されている。
企画展「シネマ紀行 日本の風景」
会期:2023年7月1日( 土)~10月1日(日)
観覧料:一般200円 小・中学生100円
映画鑑賞:一般1,000円 小・中学生500円
特別上映:一般1,600円 小・中学生800円
場所:鎌倉市川喜多映画記念館(鎌倉市雪ノ下2-2-12)
問い合わせ:0467-23-2500