東欧ルーマニア・ブカレストのクラブ“コレクティブ”で2015年10月30日に実際に起こった火災を発端に、明らかになっていく製薬会社や病院、そして政府や権力へと繋がっていく衝撃的な癒着の連鎖。本作は、命よりも利益や効率が優先された果てに起こった国家を揺るがす巨大医療汚職事件の闇と、それと対峙する市民やジャーナリスト達を追った、フィクションよりもスリリングな現実を捉えたドキュメンタリー映画だ。地元の小さなスポーツ紙に勤務し、命の危険を顧みず恐るべき真実を追うジャーナリストを映す前半から、後半は熱い使命に胸に就任した新大臣を追い、異なる二人の立場から巨大な権力に立ち向かう人たちを捉えていく。
日本をはじめ世界中のあらゆる国が直面する医療と政治、ジャーナリズムが抱える問題を真っ向から追っており、ドキュメンタリーでありながら、本年度のアカデミー賞のルーマニア代表として選出された作品で、国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞の2部門にノミネートされた。
【STORY】
2015年10月、ルーマニア・ブカレストのクラブ“コレクティブ”でライブ中に火災が発生。27名の死者と180名の負傷者を出す大惨事となったが、一命を取り留めたはずの入院患者が複数の病院で次々に死亡、最終的には死者数が64名まで膨れ上がってしまう。カメラは事件を不審に思い調査を始めたスポーツ紙「ガゼタ・スポルトゥリロル」の編集長を追い始めるが、彼は内部告発者からの情報提供により衝撃の事実に行き着く。その事件の背景には、莫大な利益を手にする製薬会社と、彼らと黒いつながりを持った病院経営者、そして政府関係者との巨大な癒着が隠されていた。真実に近づくたび、増していく命の危険。それでも記者たちは真相を暴こうと進み続ける。一方、報道を目にした市民たちの怒りは頂点に達し、内閣はついに辞職へと追いやられ、正義感あふれる保健省大臣が誕生する。彼は、腐敗にまみれたシステムを変えようと奮闘するが…。
10月2日(土) シアター・イメージフォーラム、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
公式サイト:transformer/m/colectiv
配給:トランスフォーマー