アメリカ中西部のインディアナに住む15歳のナイラは、5代続くろうの家族に生まれた健聴者。ろうの世界に馴染んで育ったために、クラスの子供とは馴染めず、ろうの子供たちからは、「ナイラは聞こえるから」と仲間はずれにされる。
ろうのシングルマザーに育てられたジェシカは、小さい頃から母親の通訳を担ってきたが、子供が知るべきでない会話もあった。「コーダは誰よりも早く大人になる」と言う。母との距離の取り方もジェシカにとっては大きなテーマで、大学進学で家を出て、母親との関係を変えようと試みるのだった。
コーダである自分の人生を手話で物語ることで、肯定し友人を作ろうとするMJ、さらに日本とアメリカを行き来し手話通訳をするアシェリーが妊娠を機に「おなかの子供がろうになるか、聞こえる子供になるか」という悩みを抱えながら出産に向かう。
耳の聴こえない親から生まれた耳の聴こえる子供たち、「コーダ」という言葉が生まれたアメリカで、コーダ・コミュニティを取材した初めての長編ドキュメンタリーを松井至監督が制作した。15歳という多感な時期を過ごすコーダの子供たちの葛藤の3年間を追った。
本作は、2015年TokyoDocsにて最優秀企画賞を受賞。その後取材を続け、2021年に北米最大のドキュメンタリー映画祭HOTDOCSに選出されるな祖、現在世界各国で上映を行っている。
『私だけ聴こえる』
5月28日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
監督 | 松井至
出演 |ASHLEY RYAN / NYLA ROBERTS / JESSICA WEIS / MJ / 那須英彰
配給・宣伝 | 太秦 ©TEMJIN / RITORNELLO FILMS