本物のホイットニー・ヒューストンを知ったのは(見たのは)、映画『ボディガード』(1992年)だった。30年前ということになる。虚実が交錯するようなドラマの興味もあって、人気歌手ホイットニー・ヒューストンを身辺警護するボディガードにケビン・コスナーが共演するサスペンス&ラブロマンス映画が忘れられない。が、緊迫したドラマもさることながら、彼女が歌う主題歌「オールウェイズ・ラヴ・ユー(I Will Always Love You)」には圧倒され、空港で別れる切ないラストシーンとともに涙を流した記憶がある。名曲は名場面を生む。「アイ・ハヴ・ナッシング(I Have Nothing)」や「ラン・トゥ・ユー(Run To You)」もこの映画に欠かせない挿入歌で、ヒューストンの「ザ・ヴォイス(The Voice)」と称される歌唱を堪能したのだった。
ホイットニー・ヒューストンの伝説は、この数字が物語っているだろう。シングル「Saving All My Love For You」以降7曲連続で全米シングル・チャート1位を獲得してビートルズの記録を破り、アルバムやシングルなどこれまでのトータル・セールスは2億枚を超えているのだ。さらにグラミー賞 6冠など400を超える受賞歴はギネス世界記録に認定されている。
音楽史に残る大偉業を成し遂げたホイットニー・ヒューストン。その彼女が逝って10年を経て、世界の音楽シーンをリードしてきた栄光の半生を描いた映画『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』が、12月23日(金)よりTOHOシネマズほか全国の映画館にて公開される。本作は彼女の、ジャンルも人種も超えて「歌いたい曲を、自分らしく歌う」ことに命を燃やし、数々のNo.1 ヒットソングとともに臨場感たっぷりに描かれたヒューマン・ヒストーリーである。
先述の映画『ボディガード』が企画されたとき、共演する人気歌手役にホイットニー・ヒューストンを指名したのはほかならぬケビン・コスナーだったというエピソードとともに、名曲「オールウェイズ・ラヴ・ユー」が誕生する瞬間も描かれている。だが、本作は伝説的なシンガーの単なる伝記映画ではない。「クイーン」のフレディ・マーキュリーを描いた『ボヘミアン・ラプソディ』の脚本家アンソニー・マクカーテン、監督にケイシー・レモンズ、伝説の歌姫=ヒューストンとともに名曲を生み出してきた現在90歳のクライヴ・デイヴィス自らプロデューサーとなって創り出された物語であり、その物語の中で聞くことができる22曲の代表曲に圧倒されながら、彼女の人生の真実を知ることができる。われわれの記憶に残された10年前の悲劇的なシンガーの結末は決して悲劇ではなく、歌姫として「生ききった」ホイットニー・ヒューストンが描かれている。付け加えるならば、ホイットニー・ヒューストンを演じ切ったイギリス人女優ナオミ・アッキーの歌唱力と演技力にただただ観る者は圧倒されるだろう。
【本作に登場する主な楽曲】
・I Will Always Love You
・Greatest Love Of All
・I Wanna Dance With Somebody
・Saving All My Love For You
・So Emotional
・How Will I Know
・I’m Your Baby Tonight
・Where Do Broken Hearts Go など
『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』は、12 ⽉23 ⽇(⾦)よりTOHO シネマズ ⽇⽐⾕ほか全国の映画館にて公開︕