実際、初めての通し稽古という現場を見せてもらっているうちに、村井の言う一人芝居を観る面白味というものを実体験することになった。村井が肉体も精神もフルに動かしている姿にはすさまじいものがある。
主人公サーシャをはじめ10人を超える登場人物たちのセリフは休む間もなくマシンガンのように発射される。サーシャが今誰と話しているのか、実際には目には見えない人物たちそれぞれの立ち位置を把握しながら顔や身体の向きを変えるのも、ジェットコースターのように目まぐるしい。
村井が言うように、観る者は次第に想像力をたくましくさせられる。そうすると、目には見えない登場人物たちの像が現れてくる。実際には一人しかいない舞台に、同時に複数の登場人物たちのヴィジュアルが、ときにモノクロで、ときに色付きで出現する。観客の想像力によって勝手に描き出されるのである。観客も知らず知らず、積極的に物語に参加させられているのだ。これは確かに一人芝居ならではの特性かもしれない。

「舞台は、今まさに生きていて感じたり考えたり、いろんなことを実感できる場所であるように思えます。生きているという感覚を自分自身にストレートに感じさせてくれる、それが舞台での時間でしょうか。さらに、観客の方々に生で観ていただき、同じ時間を共有できることもぼくの中ではやはり舞台ならではかなと。ハプニング、アクシデントなども含めて、生で人がやっているんだなと、そのすばらしさを演じ手と観客が同時に共有できる場所であり、そのことで成立するのが舞台のすばらしさだと思っています」と締めくくってくれた。










