闇バイトの凶悪犯罪に歯止めがかからない
見えざる犯罪グループ、「トクリュウ」という言葉をご存じだろうか。お互いの素性を詳らかにせず、SNSを通じて離合集散を繰り返す犯罪者集団を警察庁は「匿名・流動型犯罪グループ」(トクリュウ)と定義した。もともとは、振り込め詐欺など特殊詐欺で多く見られた犯罪組織だが、2022~23年に表面化した「ルフィ事件」では広域強盗・強盗殺人にまで「闇バイト」の募集が拡大していたことが明らかになって、各都道府県警本部では専従班を組織するなど目を光らせている。
そもそもトクリュウは匿名性の高いSNSで連絡を取り合い、犯行の時だけ顔を合わせるというケースがほとんど。それだけに実行役の凶暴性に歯止めがかからないという状況である。
昨年(2024年8月~10月)だけでも強盗事件発生順に追ってみると、①さいたま市で強盗致傷、②千葉県八千代市で強盗予備、③さいたま市で強盗予備、④神奈川県厚木市で強盗致傷、⑤同県鎌倉市で強盗致傷、⑥さいたま市で強盗致傷、⑦千葉県船橋市で強盗未遂、⑧東京都練馬区で強盗致傷、⑨東京都国分寺市で強盗致傷、⑩埼玉県所沢市で強盗致傷、⑪千葉県船橋市で強盗致傷、⑫横浜市で強盗殺人、⑬千葉県白井市で強盗傷害、⑭同県市川市で強盗致傷の14事件。

いずれも未明の時間帯に高齢者が住む住宅の窓ガラスを割って複数人で侵入し、住民を粘着テープなどで拘束して金品を奪うという荒っぽい手口が共通している、という。こうした首都圏で相次いで起きた強盗事件の中でも、横浜市で起きたのは強盗殺人に及んでいる。男性住民(75)は、テープで手足のほか、顔にもテープが巻かれており、死因は全身打撲による失血死。鈍器で繰り返し殴られたとみられ、複数箇所が骨折していた。恐ろしいにも程がある。下見から実行役、強奪した金品の回収や運び屋まで、いずれも高額報酬を餌に集められた闇バイトの犯行だ。いわば素人の強盗団の仕業だけに、凶悪性は止まることを知らない。ゆきつくところ、殺人に及んでいる。
窓ガラスを割らせず侵入を防ぐシャッター効果
注目すべきは、住宅の窓ガラスを堂々と割って侵入する手口。では、一般家庭にとって侵入抑止・防犯対策に効果的な方法は? 東京都では、侵入盗対策品16品目を指定し補助対象としている防犯フィルムやガラス破壊センサーなどがあるが、お勧めしたいのは、窓シャッターを取り付けること。仮に下見されていたとしても、シャッターを壊しさらにガラスを割るなどの手間を考えるだけで、侵入抑止・阻止になることは間違いない。一般住宅のほとんどの窓にリフォームで後付けすることは可能で、防犯のためでなく、災害にもつながる強風・台風から窓を守ることにもなる。昨今では、外出先でもスマホの操作で窓シャッターの開閉が可能になり便利になっていることも付け加えておきたい。













