23.07.24 update

第3回【私を映画に連れてって!】全編ユーミンの楽曲で綴られる原田知世&三上博史主演による映画『私をスキーに連れてって』はこうして誕生した

 一方、製作は困難を極めた。資金面でもフジテレビは上限1億円。それ以外は自分たちで調達。直談判で、小学館とポニーキャニオンが各々数千万円を出資してくれて解決。感謝!
 当初、1987年の1~2月に撮影を組む予定だった。雪がないと始められないので当然の時期である。
 2つのアクシデントが発生した。
 一つは、冬なのに雪が積もらなかった。志賀高原ほか各所、白ではなく、土色の風景で、とても撮影できる状態ではなかった。自然が相手では厳しい。2月になっても同じ状態で1~2月の撮影は断念。翌シーズンにしたいという監督らのリクエストもあったが、ここで実現できなければ次は無いと思った。

▲主演の原田知世

 もう一つはキャスティング。主演の原田知世さんは我々の一致した候補だったが、当時所属していた角川春樹事務所とのトラブルで、契約が残っている3月末までは仕事の依頼をすべて行なわないよう事務所からお触れが出た。これはルールだから致し方ない。
 このアゲインストな状況で撮影をやるのか、やらないのか。
 2月後半になり、ようやくドカ雪が。ただ、これから準備して、原田知世さんに出演してもらうとなると撮影は4月から。さすがにGWを過ぎてスキーの撮影は……。監督からも、2月の雪の結晶の形が、4月以降では六角形が削れて五角形になってしまう……など、僕には理解できない、スキーフリークらしい拘りの発言。新雪ではなく、ベチャベチャの雪が映ってしまう意か。

▲SALLOT(サロット)は、映画『私をスキーに連れてって』に登場する架空のカスタムブランドで、映画の企画段階では、【SALLOT】ブランドを商品化してヒットさせようと商標登録までしたという。残念ながら、公開時には間に合わなかった。2018年に『私をスキーに連れてって』公開30周年記念プロジェクトが立ち上がり、映画にも協力していたISG石井スポーツから【SALLOT】の板が今風のモデルとデザインで復刻販売され、予約が殺到した。公開当時、アルペンやヴィクトリアには映画で主人公が着た白いスキーウエアを求めてスキーファンが殺到したというニュースも懐かしい。映画の公開により、スキーブームが再燃したことは間違いない。

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映画は死なず

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