成城ではないが、宇宙快獣・チャメゴンが登場する第26話と第27話、第44話では大蔵の「世田谷区立総合運動場体育館」(以降、世田谷区立体育館と表記)前で撮影が敢行。ピラミッド型の屋根が特徴的なこの体育館は、〝若大将シリーズ〟の一篇『リオの若大将』や、スポ根ドラマ「サインはV」(69~70年/TBS系)で度々試合会場となったほか、「ウルトラセブン」他の円谷特撮シリーズにもしばしば登場。ウルトラ・マニアには‶聖地〟のひとつとなっている。
なお、第27話で見られる日本石油のガソリンスタンドは、かつて成城二丁目11の六間道路沿いにあったもの。それ以前はP.C.L.のスター・大川平八郎が住んでいた地所で、お隣には素敵な洋館・属(さっか)邸が建っていた。こちらの洋館は、「ウルトラマンタロウ」(73~74年)で篠田三郎(役名は東光太郎)が下宿する白鳥家のロケ地となっている。
さらに第30話では、かつて大蔵の南、岡本町にあったサイコロ型の奇妙な建物「百目の家(四面に二十五個の窓があることから「百窓」とも)」が登場。どこから見てもビジュアルこの上ない当構築物は、東宝映画『社長繁盛記』に登場するほか、『日本一のワルノリ男』では谷啓扮する写真家のフォト・スタジオに見立てられている。
他にも第40話では、円谷プロからも程近い「砧農協山野支店」(2021年閉店)前の五叉路にブースカが佇んでいるシーンがあり、近所に住む筆者は心底驚いたものだ。
最終回では、成城南口の「城南信用金庫」前をブースカが歩き、この光景も誠にシュール。このシーンでは、円谷英二の長男・円谷一監督の葬儀が行われた「カトリック成城教会」の十字架も写り、何だか切ない。