この度、放送55周年を迎えた「ウルトラセブン」(67〜68年)に成城ロケ・シーンはほとんどない。確認できるのは「快獣ブースカ」第27話にも登場したガソリンスタンドくらいだが、第1話から前述の世田谷区立体育館が登場。前作「ウルトラマン」(66〜67年)のアラシの分身のようなウルトラ警備隊員・フルハシ(石井伊吉:現毒蝮三太夫)が、当体育館内でトレーニングに精を出すシーンが見られる。
他にも、ペガッサ星人とモロボシ・ダン(森次浩司)が闘う第6話、新宿を歩いていたはずのダンがいきなり現れ、噴水前からポインターで去っていく第37話、「第四惑星」の人間処刑場に見立てられた第43話、宇宙猿人が巡査を襲う第44話、ダンが一人、館内でバスケットボールや鉄棒をする第48話の各シーンが当館内外で撮影されており、‶聖地〟としての存在感を大いに示している。
加えて、「セブン」でよくロケ地に使われたのが砧公園である。
第18話ではキリヤマ隊長(中山昭二)とダンが落下傘で降下するシーン、第38話ではフルハシがクレージーゴンに向けて射撃するシーン、第41話では夜間にテントを張って警備するシーンなどが、ここ砧公園で撮影されている。
かねてひし美ゆり子さんに伺った話では、このとき待ち時間が生じたウルトラ警備隊の面々は、成城北口にあったスナック「ファニー」でウィスキーを飲みながら待機。これにより酔った石井が台詞を言えなくなってしまったことは、マニアにはよく知られた逸話であろう。石井は二階にあった店の通路から道路に飛び降りたこともあったとのことだが、無事だったのだろうか。
ちなみに、このスナック「ファニー」は石原裕次郎、岡本喜八監督、小谷承靖監督などの行きつけの店で、裕ちゃんの席はカウンターの一番奥と決まっていたそうだ。GS、パープルシャドウズの名曲「小さなスナック」のモデルになった(作詞の牧ミエコがよく通った)ことでも知られる当店、歌詞にあるような「白い扉」ではなかったことから、モデルはやはり成城にあった別の店だと主張される方もいる。
1966年まで都営のゴルフ場だった砧公園。『ニッポン無責任時代』で植木等が取引先の社長・由利徹を接待ゴルフに連れ出すのは当「砧ゴルフ場」で、映画で見られるレストハウスは現在の世田谷美術館の辺りにあった。