リリースから2ヶ月後、「涙のリクエスト」は歌番組の「ザ・ベストテン」で1位を獲得。続いて5月1日に「哀しくてジェラシー」がリリースされるとデビュー曲の「ギザギザハートの子守歌」まで牽引して3曲がオリコンチャートをはじめ「ザ・ベストテン」にも同時ランクインという、快挙を成し遂げたのである。当時テレビをつければどこかの局でチェッカーズの曲が流れていたような気がする。84年のNHK紅白歌合戦に「涙のリクエスト」で初出場、92年の解散まで9回連続出場した。
メンバーの7人は遊ぶ時も場所も何をやるにもどこへ行くにも一緒だったという。仕事とプライベートは全く別と分けるグループも多い中で、チェッカーズは一言でいえば家族兄弟のような同志であり、解散までメンバーチェンジもなかった。フミヤがファミリーの大黒柱となって外からの障害からメンバーをも守っている中、子供たちはいつしか成長し、親離れしていく。鶴久、高杢がソロCDデビューし、年頃になったメンバーは、結婚や子供の誕生など私生活の変化もあった。いつも一緒という時間がもてなくなっていったのだ。92年12月25日~29日の4日間連続、武道館でのラストコンサートで解散することになった。体調を崩したフミヤは点滴をして参加。声の音域が狭くなったフミヤのため、メンバーは曲の音程を半音下げてフォローし、フミヤの歌声が涙で消えてしまいそうになると、会場のファンが大きな声で歌ってあげるというチェッカーズとファンが溶け合ったコンサートになった。
高校生からの十数年を一緒に過ごしたメンバーの黄金の青春にピリオドが打たれた。その後メンバーの徳永が40歳で逝去、一人欠けてもチェッカーズではないという考えがあるから再結成はないだろう。
フミヤは、藤井フミヤとして、ソロ活動を始めた。柴門ふみ原作の漫画コミック『あすなろ白書』(93)がテレビドラマ化され、主題歌「TURE LOVE」をフミヤが作詞作曲した。発売前から話題となり、オリコンチャート初登場で1位を獲得した。大学生を演じた石田ひかり、西島秀俊、筒井道隆、鈴木杏樹、そして木村拓哉も出演したフジテレビの月9のドラマ。どちらかというと、バラードを歌うようになって、フミヤが好きになった。この主題歌が流れるたび、チェッカーズの解散も7人が成長した証なのだろうと思いながら、筒井道隆演じる掛井君が好きで『あすなろ白書』を夢中でみていたことを思い出したのだった。
文=黒澤百々子 イラスト=山﨑杉夫 参考:『F・エンジェル 藤井フミヤの謎』(青谷舎)