6月9日(金)からのロードショー鑑賞後、もしかしたら…日本中ののど自慢たちがオペラ歌手を目指すかもしれない。ラッパーだろうが、演歌歌手だろうが、ロッカーだろうが、ポップシンガーだろうが、映画『テノール! 人生はハーモニー』の魅力に取りつかれて声高らかにオペラを謳い出してしまいそうな気がしてくるのだ。
芸術の都、パリ。オペラ座・ガルニエ宮にすしの出前のバイトで入り込んだ青年、アントワーヌが出くわしたのはオペラのレッスン。オペラとは縁遠い彼をエリートレッスン生は蔑むような視線を浴びせるが、見返しのつもりでオペラの歌真似をしてしまうと、プロも舌を巻くほどの超美声に一堂唖然とする。アントワーヌはラッパーでその日暮らしのフリーター、生きる世界が違い過ぎたが、その場に居合わせた教師のマリーは一瞬にして彼の才能に惚れ込みオペラの世界に引きずり込む。思わぬ逸材を発見した思いのマリーは内緒で二人だけの猛レッスンを始めるが、煌びやかで豪華絢爛なオペラ座には似つかわしくないと思い込むアントワーヌは身が引けてしまいがち。が、教師マリーの異変を知り、彼女からの手紙が人生を一変させる…。
本作は、涙誘うヒューマンドラマとしては勿論、もう一つの魅力はオペラ座・ガルニエ宮の絢爛な美しさに目を覚まされ、随所にオペラのスタンダードともいえる名曲の数々に浸れることだろう。ある晴れた日に―プッチーニ《蝶々夫人》、誰も寝てはならぬ―プッチーニ《トゥーランドット》、女心の歌―ヴェルディ《リゴレット》、乾杯の歌―ヴェルディ《椿姫》、カタログの歌―モーツアルト《ドン・ジョヴァンニ》といった挿入歌を耳にするだけでも、クラシック音楽に疎い人でも、誰もがオペラの魅力を発見することだろう。
因みに、アントワーヌを演じるのは、大人気のオーディション番組「THE VOICE」で勝ち上がったビートボクサー、MB14。劇中すべてのオペラ歌唱にも挑戦し、天才的な才能を発揮したのは、劇中のアントワーヌさながらである。
配給:GAGA
6月9日(金) 新宿ピカデリー/ヒューマントラストシネマ有楽町/ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
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