23.11.30 update

紅白歌合戦での46回の紅組最多出場を誇り、さらに前進し続ける現役女性演歌歌手のトップランナー 石川さゆり「能登半島」

 日本テレビ系列で10月から始まった小池栄子主演の連続テレビドラマ「コタツのない家」の主題歌が、なんとも小気味いい。石川さゆりが歌う「ダメ男数え唄」である。ああ言えばこう返す、セリフの応酬のテンポが良く、身勝手な父親、夫、息子に手を焼き、恨み言をいいながらも、見捨てることができず、私にまかせておきなと面倒を見てしまう周りから甘えられる主人公の心情が、リズミカルに綴られている。ドラマの脚本を手がけている金子茂樹作詞で、作曲&編曲は気鋭のミュージシャンであり音楽プロデューサーの阿久津健太郎。ノリのいいテンポとメロディが、チャレンジ精神旺盛な石川さゆりのスピリットにピッタリとはまっている。

 石川さゆりの歌手デビューは、1973年日本コロムビアからリリースされた「かくれんぼ」で、アイドル歌手としてのデビューだった。同期には森昌子、桜田淳子、山口百恵の「花の中三トリオ」がいる。そういえば、桜田淳子のトレードマークとして知られる〝エンジェルハット〟と呼ばれたキャスケットを石川さゆりも被っていたような記憶がある。デビュー時には、同じホリプロ所属の森昌子、山口百恵とのユニット「ホリプロ三人娘」が企画されたが短期間で頓挫した。石川さゆりが歌手としてスポット・ライトを浴びるのは、77年1月の15枚目のシングルである「津軽海峡・冬景色」のリリースまで、待たねばならなかった。この曲は76年に発売されたアルバム『365日恋もよう』からシングル・カットされたもので、現在の演歌歌手としての石川さゆりの礎となった曲と言えよう。石川さゆりの第2ステージがここから始まったわけである。

 オリコンシングルチャート最高位6位、年末の日本レコード大賞では歌唱賞を受賞している。ちなみにこの年のレコード大賞が沢田研二の「勝手にしやがれ」で、「津軽海峡・冬景色」は次点だった。フジテレビ系列のFNS歌謡祭では、グランプリ、最優秀歌唱賞、最優秀視聴者賞も獲得している。まさに大ブレイク、アイドルから本格的演歌歌手へと変貌した曲との出合いだった。また、作曲を手がけた三木たかしは、岩崎宏美の「思秋期」と合わせて、レコード大賞作曲賞に輝いている。

1 2

新着記事

  • 2025.12.15
    2016年の韓国の造船業界を舞台にした、『ただ、や...

    応募〆切:1月12日

  • 2025.12.15
    NHK紅白に欠かせなかった数々の楽曲— 特集:作詞...

    文=米谷紳之介

  • 2025.12.15
    アンフォルメルの熱い抽象の全貌が明かされる「大西茂...

    応募〆切:1月25日(日)

  • 2025.12.15
    泉屋博古館東京 特別展「生誕151年からの鹿子木...

    応募〆切:1月12日

  • 2025.12.12
    文豪・森鴎外の子どもたちが語る文学者でも陸軍軍医で...

    1月18日~3月31日

  • 2025.12.12
    【冬のお出かけ情報】いつもより長い正月休暇の後半は...

    1月3日~1月12日

  • 2025.12.12
    特別寄稿 役者を生きるために生まれてきた男の12...

    12月13日、93歳の誕生日

  • 2025.12.12
    寺島しのぶ・常盤貴子共演、知的障がいを持つ母と健常...

    応募〆切:12月25日(木)

  • 2025.12.11
    TBS日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』で熱演の俳優・...

    高橋光臣、ラグビー人気に一役!

  • 2025.12.11
    1960年代チェコスロバキアの民主化運動「プラハの...

    12月12日(金)全国公開

映画は死なず

特集 special feature  »

<特集>今、時代劇が熱い! 第三弾 主演北大路欣也が語る「三屋清左衛門残日録」~時代劇にはまだまだ未来がある~

特集 <特集>今、時代劇が熱い! 第三弾 主演北大路欣也が...

藤沢周平原作時代劇「三屋清左衛門残目録」の章

松田聖子デビューから45年、伝説のプロデューサー若松宗雄が語る誕生秘話〈わが昭和歌謡はドーナツ盤〉特別企画

特集 松田聖子デビューから45年、伝説のプロデューサー若松...

〈わが昭和歌謡はドーナツ盤〉特別企画

わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の  「芸業」

特集 わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の 「芸業...

棟方志功の誤解 文=榎本了壱

VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いなる遺産

特集 VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いな...

「逝ける映画人を偲んで2021-2022」文=米谷紳之介

放浪の画家「山下 清の世界」を今。

特集 放浪の画家「山下 清の世界」を今。

「放浪の虫」の因って来たるところ 文=大竹昭子

「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

特集 「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

「いい顔」と「いい顔」が醸す小津映画の後味 文=米谷紳之介

人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

特集 人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

わが母とともに、祐三のパリへ  文=太田治子

ユーミン、半世紀の音楽旅

特集 ユーミン、半世紀の音楽旅

いつもユーミンが流れていた 文=有吉玉青

没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、展覧会「萩原朔太郎大全」の旅 

特集 没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、...

言葉の素顔とは?「萩原朔太郎大全」の試み。文=萩原朔美

喜劇の人 森繁久彌

特集 喜劇の人 森繁久彌

戦後昭和を元気にした<社長シリーズ>と<駅前シリーズ>

映画俳優 三船敏郎

特集 映画俳優 三船敏郎

戦後映画最大のスター〝世界のミフネ〟

「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の流行歌 

昭和歌謡 「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の...

第一弾 天地真理、安達明、久保浩、美樹克彦、あべ静江

故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・木下惠介のこと

特集 故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・...

「つつましく生きる庶民の情感」を映像にした49作品

仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監督の信念

特集 仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監...

「人間の條件」「怪談」「切腹」等全22作の根幹とは

挑戦し続ける劇団四季

特集 挑戦し続ける劇団四季

時代を先取りする日本エンタテインメント界のトップランナー

御存知! 東映時代劇

特集 御存知! 東映時代劇

みんなが拍手を送った勧善懲悪劇 

寅さんがいる風景

特集 寅さんがいる風景

やっぱり庶民のヒーローが懐かしい

アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

特集 アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

60年以上にわたる創造の全貌

東京日本橋浜町 明治座

特集 東京日本橋浜町 明治座

江戸薫る 芝居小屋の風情を今に

「芸術座」という血統

特集 「芸術座」という血統

シアタークリエへ

「花椿」の贈り物

特集 「花椿」の贈り物

リッチにスマートに、そしてモダンに

俳優たちの聖地「帝国劇場」

特集 俳優たちの聖地「帝国劇場」

演劇史に残る数々の名作生んだ百年のロマン 文=山川静夫

秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

特集 秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

役柄と素顔のはざまで

秋山庄太郎ポートレートの美学

特集 秋山庄太郎ポートレートの美学

美しきをより美しく

久世光彦のテレビ

特集 久世光彦のテレビ

昭和の匂いを愛し、 テレビと遊んだ男

加山雄三80歳、未だ青春

特集 加山雄三80歳、未だ青春

4年前、初めて人生を激白した若大将

昭和は遠くなりにけり

特集 昭和は遠くなりにけり

北島寛の写真で蘇る団塊世代の子どもたち

西城秀樹 青春のアルバム

特集 西城秀樹 青春のアルバム

スタジアムが似合う男とともに過ごした時間

「舟木一夫」という青春

特集 「舟木一夫」という青春

「高校三年生」から 55年目の「大石内蔵助」へ

川喜多長政 &かしこ映画の青春

特集 川喜多長政 &かしこ映画の青春

国際的映画人のたたずまい

ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

特集 ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

監督と女優の二人三脚の映画人生

中原淳一的なる「美」の深遠

特集 中原淳一的なる「美」の深遠

昭和の少女たちを憧れさせた中原淳一の世界

向田邦子の散歩道

特集 向田邦子の散歩道

「昭和の姉」とすごした風景

あの人この人の、生前整理archives

あの人この人の、生前整理archives
読者の声
Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial
error: Content is protected !!